皆さまこんにちは!ひとしきです。
今回は、私も飼育している「サビイロクチバシヘビの生態」について、解説していきます。
サビイロクチバシヘビは、その名が示す通り“くちばし”のように尖った鼻先と錆色がかった体色を特徴とする東アフリカ原産のヘビです。ユニークな外見だけでなく、生態や行動も興味深く、日中に活動する珍しい毒ヘビとして知られています。
今回は、そんなサビイロクチバシヘビが野生でどんな暮らしをしているのか、生息地から食性、行動、さらには繁殖戦略に至るまで、少し専門的な視点を交えながら掘り下げていきます。
「サビイロクチバシヘビってどんなヘビ?」
「野生ではどんな暮らしをしているの?」
そんな声にお答えできる内容となっております!
生態学的な視点でじっくり観察してみると、かなり面白いです!ぜひ見て行ってください。
サビイロクチバシヘビに関する他の記事はこちらからどうぞサビイロクチバシヘビ
基本情報

- 学名:Rhamphiophis oxyrhynchus
- 英名:Rufous Beaked Snake
- 分布:東アフリカ(ボツワナ北部、ジンバブエ北部、モザンビーク、タンザニア、ウガンダ、ケニア、南スーダン、スーダン)
- 体長:成体は約1.1m(オス最大約110cm、メス約107cm)
- 活動時間帯:昼行性
- 寿命:野生下では約10年前後と推定。飼育下では最長13年程度の記録あり
見た目の特徴
サビイロクチバシヘビは中型サイズに分類されるヘビで、いわゆる“ずんぐりむっくり”したフォルムが特徴的ですね。
最も目を引くのは、その吻(ふん)、つまり鼻先の形状でしょう。前方に鋭く突き出していて、まるで鳥類のクチバシのようにも見えます。この吻の構造は、英名「Beaked Snake(くちばしを持つヘビ)」や、和名の由来にもなっていますよ。この独特な吻によって、頭部と頸部、つまり首の部分との境界が非常に明瞭に見えるんです。
体色に関しては個体差がけっこう大きく、一般的には、灰色から黄褐色、さらに赤褐色にまで及ぶカラーバリエーションが見られます。特に背面は、赤みを帯びた錆色の鱗が目立つ個体が多く、環境によっては迷彩効果も発揮していると言われています。側頭部には、ダークブラウン〜ブラックに近い色調のアイストライプが走っていて、これが鋭い印象を与えてくれますね。その上、大きな丸い瞳がさらに存在感を引き立てています。
体サイズや体色に大きな性的二型は見られません。
昼行性のヘビなので、瞳孔は円形を保っており、夜行性種によく見られる縦長ではないんです。このあたりも興味深いところですね。
食性

サビイロクチバシヘビは、基本的に肉食性のヘビです。
獲物は小型哺乳類、たとえばネズミ類なんかが代表的ですね。しかしそれだけじゃなく、トカゲ類や他のヘビも捕食対象に入ります。この「他のヘビを食べる」行動、専門的にはヘビ食(オフィオファジー/ophiophagy)と呼ばれています。サビイロクチバシヘビは、このオフィオファジー傾向がけっこう強めな種類なんですね。野生では、自分より小型のヘビを襲って飲み込む姿も観察されています。
彼らは、奥歯の位置に毒牙があるタイプの「後牙類(rear-fanged snake)」に分類されます。毒は「ルフォキシン(rufoxin)」という神経毒が主成分になっていて、小型哺乳類には血圧低下やショックを引き起こす作用があります。毒によって獲物を弱らせ、抵抗力を奪ってから捕食する、というわけですね。ただし、この毒は人間にはあまり効かなくて、咬まれても重篤な症状に至るケースはまれとのことです。
私は幼蛇のときに噛まれ、指が腫れあがりましたが……💦💦
生息環境

生息環境については、乾燥しすぎないサバンナやブッシュランド(疎林)、ソーンヴェルド(トゲのある低木地帯)なんかがメインの暮らし場になっています。ちょっとした半砂漠のような場所や、人の暮らしに近い農耕地の周辺でも見つかることがあり、環境適応力が高いとされていますね。
活動時間は主に日中。昼行性(ちゅうこうせい)のヘビは意外と珍しく、比較的涼しい朝方や夕方を中心に活動。地面や低木の間をすばやく動き回って、視覚を頼りに獲物を探しています。
地表棲の彼らは自分で穴を掘ったり、他の動物が掘った古い巣穴をうまく再利用したりして暮らしています。クチバシ状の吻は穴を掘るためにぴったりの形状をしています。暑い昼間や夜間には、地中の巣穴に入って暑さや天敵から身を守っています。
自然界での行動

サビイロクチバシヘビは単独性がかなり強いです。繁殖期を除けば、他の個体と一緒にいることはほとんどないですね。むしろ、成体同士が出会えば捕食と被食の関係になってしまう可能性もあるので、お互い距離を取って生活していると言われています。
自然界では、自分より大きなヘビ、たとえばツリー・スネーク類に襲われることもあるし、大型の猛禽類(ヘビクイワシやヘビワシ類)が天敵になっています。なので、巣穴に隠れたり、環境に溶け込むような保護色を活かすなど、しっかり進化しています。
危険を感じたときの反応としてはすばやく巣穴に逃げ込むのはもちろん、威嚇として、コブラのように体をちょっと平たく広げたり、尾を激しく振るような行動も報告されています。
ただ、このあたりはまだしっかり研究されていない部分もあって、近縁種の行動から推測されている点も多いです。
野生での繁殖

サビイロクチバシヘビの野生下での繁殖は、主に雨季にあたる夏の時期に集中しています。東アフリカの乾季と雨季のサイクルに合わせているわけですね。繁殖期に入ると、成熟したオスとメスはフェロモンや体臭を頼りにお互いの存在を探し出します。嗅覚はかなり発達しているので、風に乗った匂いから個体を認識できます。
繁殖期にはオス同士でメスを巡る争いも起こります。体を持ち上げて押し合い、力比べをするような闘争行動が見られることもあるようです(※この行動、まだサビイロクチバシヘビ単体での詳細報告は少ないのですが、近縁種では確認されています)。
交尾は、地表や巣穴の周辺で行われることが多いようですね。オスはメスに体を巻き付けるようにして尾部を合わせ、数分から長いときは数時間かけて精子をメスに渡します。このあたりは他のナミヘビ科の仲間とよく似た繁殖行動ですね。交尾を終えたメスは、しばらくのあいだ体内で受精卵を育てて栄養を与えたあと、夏のピークシーズンになると産卵に入ります。産む卵の数はだいたい8~17個くらいで、意外と多いんですよね。卵は細長い円筒形をしていて、サイズはおおよそ36mm×21mmほどと報告されています。
メスは自ら巣穴を掘ったり、朽ち木の下などを選んだりしながら、柔らかくて適度に湿り気のある産卵場所を探します。乾燥しすぎると卵がダメになってしまうので、土壌のコンディションにはかなり敏感なんです。ちなみに、産卵は一気に全部産むわけじゃなく、数日間にわたって少しずつ産むケースも観察されています。
卵は地面の熱や腐植質の発酵熱に頼って自然孵化を待つことになります。孵化までの期間はだいたい60〜80日くらいで、気温や湿度によって少し差があります。
孵化した幼蛇は、全長で20cm程度のミニサイズ。すでに小さいながらも毒牙を持っていて、自力で餌を取るスキルも備えています。生まれた瞬間から完全に自立していて、それぞれが自分のテリトリーを探していくんですね。
繁殖成功率は、年ごとの環境条件によって大きく変わります。雨季の降水量が適度で土壌の湿度が十分な年は多くの卵が無事に孵化しやすいですが、干ばつや高温続きの年だと、卵の発生がうまくいかないこともあります。それに加えて、卵を狙う天敵も存在し、アリの群れや小型哺乳類が巣穴を荒らして卵を食べてしまうこともあります。
このヘビは比較的多産な戦略をとっているので、種としての存続はうまくいっているようですね。現在のところ、サビイロクチバシヘビの野生個体数は安定していると考えられています。
まとめ
ここまでサビイロクチバシヘビの野生での暮らしを見てきましたが、いかがでしたか?
彼らは昼間に活発に動き回って、小動物や他のヘビまでも捕食しながら、暑さとうまく付き合って暮らしています。他のヘビとはひと味違う独自性が光っていて、生態系の中でもしっかりと存在感を放っていますね。
野生での生態を知ることで、飼育環境の構築にも活かせると思います!飼育下でも、自然界で生きるように快適な環境で暮らしてほしいですね。
それではまた、別の記事でお会いしましょう!