皆さまこんにちは!ひとしきです。
今回は「ナメハダタマオヤモリの飼育環境」について、解説していきます。
ナメハダタマオヤモリは可愛い見た目で魅力的ですが、砂漠系ヤモリならではの環境作りや温湿度管理が重要になってきます。床材やシェルターの選び方を誤ると、ストレスや体調不良の原因になってしまう可能性もあります。
今回はケージのサイズ選びからレイアウト、飼育に必要なチェックリストまで一気にまとめました。これを読めば、飼育環境のイメージがぐっと明確になると思いますよ。
「砂漠系ヤモリの飼育って、なんだか難しそうだな…」
「飼育してみたいけど、どんなケージや器材をそろえればいいのか分からない…」
そんな声にお答えできる内容となっております!
ナメハダタマオヤモリの飼育を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください!
生態についての解説はこちら!【ナメハダタマオヤモリの生態】生息地から繁殖まで完全解説!
ケージの選択

ナメハダタマオヤモリは比較的小型で丈夫なヤモリなので、ケージに関しては「あまり神経質にならなくても大丈夫」とよく言われます。でも、実は快適な環境を作るためにはそれなりのポイントがあるんですよ。
まず、初心者さんが検討しがちなプラケースですが、通気性とレイアウトの自由度を考えると、ガラスケージか通気口がしっかりした爬虫類用ケースをおすすめしたいですね。
最低限の大きさとしては、床面積が30×20cm程度でも飼えなくはありませんが、温度勾配やレイアウトをきちんと作るとなると、横幅45cm以上、奥行き30cm以上は欲しいところです。そうすることで、暖かいゾーンと涼しいゾーンを分けやすくなりますし、シェルターやレイアウトの幅も広がるんです。ガラスケージなら湿度管理もしやすいですし、なにより見栄えが良いので、観察もしやすいですよ。
また、フタの形状には注意してください。ナメハダタマオヤモリは垂直方向にあまり登らないタイプですが、完全に脱走しないというわけではありません。フタが緩いと隙間から出てしまうこともありますから、ロック機能付きか、重しを置くなどして逃げられないようにしましょう。
底面ヒーターやヒートマットを敷くことを想定しているなら、ガラスケージの底板が熱で割れにくい作りになっているかどうかも大事です。プラスチック製のケージなら変形しない程度の温度に調節して使ってくださいね。
複数飼いを考えている場合は、1匹あたりのスペースを十分に取れるかも検討しておきましょう。オス同士の同居はほぼNGですし、メス同士でも慣れや相性が必要になることがあります。最初は1匹飼いが安全なので、「単独飼育前提でケージを選ぶ」というのがおすすめですよ。
最後にお伝えしたいのは、「将来的にもっと広いレイアウトを作りたくなる」ことが多いという点。最初に小さめを買って後から買い替えるより、最初から少し大きめを選んでおくと無駄が少なくて済みます。見た目もスッキリしますし、ヤモリも伸び伸びと過ごせますよ。
床材の選択

ナメハダタマオヤモリは砂漠や半砂漠地帯出身ですが、「とにかく砂」を敷けばいいというものでもありません。じつは粒の大きさや性質によっては危険が伴う場合があるんです。
たとえばカルシウムサンドは、ヤモリが舐めたり飲み込んでも大丈夫なように作られているとはいえ、過剰に摂取すると「腸閉塞」を起こす可能性があるという報告もありますね。
初心者さんなら、まずは誤飲対策のされた、細かめの爬虫類用サンドを選ぶのがオススメですよ。砂を深め(5〜10cm程度)に敷いてあげると、ナメハダタマオヤモリが巣穴を掘る行動を再現できて、ストレス軽減にもつながるんです。特にオスやメスにかかわらず、落ち着きたいときは自分で潜りたがる個体も多いので、その行動をサポートしてあげましょう。
また、粒が大きすぎたり角が鋭い砂は、指先やお腹を傷つけるリスクがあってよくありません。見た目がオシャレな砂利混じりの床材もありますが、ナメハダタマオヤモリにとってはメリットが少ないです。基本的には、きめ細かな砂を選んで深めに敷くというスタンスを守ると間違いないですね。
「どうしても砂の誤飲が心配…」という方は、キッチンペーパーやペットシーツなどの“敷材”にして、ポイント的に砂場ゾーンを作る方法もありますよ。お掃除のしやすさを重視するなら、全面ペーパー敷きでも構いません。でも、やはり砂を掘る仕草を見られないのはちょっと残念ですし、砂に潜り込むときのあの可愛らしい姿が見られないのはもったいないかも…と思います。
なお、湿度管理の面では、砂の一部を適度に湿らせておくと、脱皮不全の予防になります。ケージの片隅(クールスポット側)に加湿した砂を置き、その上にシェルターを置けば“湿度シェルター”の完成です。ナメハダタマオヤモリは自然とそこに入って、体をしっとりさせるので、脱皮前後は特に喜んで利用する子が多いですね。
シェルターとレイアウト

ナメハダタマオヤモリにとって「隠れ家(シェルター)」はとても大事な要素です。砂漠系ヤモリだからといって何も入れずに「砂だけ」のレイアウトにしてしまうと、落ち着けなくてストレスを溜めこんでしまいます。
市販の小型シェルターでもいいですし、素焼きの植木鉢を横に倒して入り口を作る方法なんかも簡単で使いやすいですね。
ポイントは、暗くて狭いスペースをきちんと確保すること。体全体がすっぽり入る大きさで、頭が通る穴があれば十分です。入り口のサイズは少し小さめのほうが安心感を得やすいらしく、中で落ち着きやすいですよ。シェルターは「ホットスポット側」と「クールスポット側」の両方に設置してあげると、ヤモリが好みの温度帯で過ごせます。特にクールスポット側のシェルターには、先ほどお話しした湿り気のある床材を用いて“湿度シェルター”として使うこともおすすめですね。
レイアウトはシンプルでも問題ありませんが、見た目を楽しみたい人は流木や小石を配置して自然感を演出してもOKです。ただし、転倒の危険がないよう、しっかりと固定してくださいね。ヤモリが潜って下敷きになってしまうケースや、挟まれて怪我をすることもあります。
一般的な樹上性ヤモリと違って、ナメハダタマオヤモリはあまり垂直の壁は登りません。ですので、高さよりも床面積の広さを優先したレイアウトがいいですね。落下したときのことを考えると、極端に高低差のあるレイアウトは避けたほうが無難です。
もう一点、糞や尿酸はわりと決まった場所にする子が多いので、そこにキッチンペーパーなどを敷いておくと、お掃除が楽になります。こまめに汚れを除去してあげることで、清潔な環境をキープでき、ヤモリも健康的に過ごしてくれます。
温度と湿度

温度と湿度の管理は、とくに砂漠系ヤモリの飼育では重要ですよね。
温度
日中(照明を点けている時間帯)にケージの一部を約32〜35℃程度に保ち、反対側が28℃前後になるようにすると理想的です。こうした温度勾配を作るために、部分的な加熱用のスポットライトやヒートマットを利用するといいですよ。
夜間は25℃前後まで下がってOKですし、場合によっては20℃台前半まで落ちても問題ない子も多いです。とはいえ、極端に夜間が冷えすぎる(15℃以下など)環境はさすがに体調を崩す原因になるかもしれません。飼育部屋の室温が大幅に下がる地域では、夜間もアンダーヒーターか遠赤外線ヒーターを弱めに使って、最低温度を20℃前後に保つのが安心だと思います。
湿度
砂漠系といってもまったく湿度がいらないわけではありません。
平均的に30〜40%前後を目安にしておきつつ、一部に湿度の高いシェルターを用意するのがオススメです。脱皮前になると湿度が高い場所を好む子が多いですし、実際に湿った砂のあるシェルターを設置することで脱皮不全を防ぐ効果もあります。
なお、ケージ全体を加湿しすぎるとカビやダニが発生しやすくなるので注意してくださいね。基本的には「全体は乾燥気味、局所的に湿った場所を作る」というのがコツなんです。湿度計を1つケージの中に入れておいて、数値をチェックすると管理しやすくなりますよ。
あと、飼育部屋の気候に左右されやすい時期、特に冬場の乾燥がひどいときは、霧吹きで床材やシェルターに軽く水を含ませるくらいでも違います。ヤモリ自体も壁やレイアウトに付いた水滴を舐めることがありますから、こまめな霧吹きはヤモリの健康面にもプラスに働くんです。
紫外線ライトの必要性

ナメハダタマオヤモリは夜行性なので、「紫外線ライトなんていらないでしょ?」と思われがちですよね。
しかし、最近の飼育事情や研究報告では、UVBを適度に照射することでカルシウム吸収が促進され、代謝が安定するという見解が増えています。必須ではないかもしれませんが、健康維持のためにUVBライトを使うことはメリットが大きいと言われるようになりました。
といっても、昼行性の爬虫類ほど強い紫外線量は必要としないので、UVB5.0程度の弱いライトを日中だけ照射しておくといいですよ。ガラスやアクリル越しだとUVBがほとんど届かないので、ケージの上から直接照射するか、メッシュフタを使うなど工夫が必要です。
明るい光を嫌うこともあるので、シェルターを2つ以上用意して、完全に暗い場所へ逃げ込めるようにしてあげましょう。そうすることで、UVBを嫌う個体も好きな場所を選べます。また、UVBが当たる範囲が広すぎると、ヤモリが落ち着かない場合もありますから、局所照射できる小型ライトを採用するのも手ですね。
なお、紫外線ライトを導入する場合は交換時期にも注意したいところです。ライトの寿命は点灯時間に左右されますし、UVBは見た目が光っていても、経時劣化によって照射量がかなり減っている可能性があるんです。製品によって推奨交換サイクルは異なるので、メーカーの推奨を目安に定期交換をしてあげるといいですよ。
カルシウムの摂取・吸収については、カルシウム剤を餌にまぶすことで補う方法も従来から使われています。紫外線ライトを設置しない方は、ビタミンD₃入りのカルシウムサプリをこまめに使うと安心ですね。ただ、UVB照射と併用する場合はビタミンD₃の過剰摂取もあり得るので、用量には気をつけましょう。
給水設備

ナメハダタマオヤモリも、きちんとした給水源を用意してあげると安心です。多くのケースでは、浅い水皿をケージの隅に置いておく方法がとられます。お皿の深さはヤモリの脚がつかる程度に留めておき、水が汚れたら都度交換するのが基本ですね。
ただ、実際に水皿から直接飲んでいる姿をあまり見かけないこともあります。そのため、週に数回は霧吹きでケージ内や床材に水を噴き付け、水滴を舐めさせる方法も併用されますね。野生下でも夜間や早朝に発生するわずかな露を舐めて水分補給することが多いと考えられているので、霧吹きは結構効果的なんですよ。
また、砂が舞い上がって水皿に入り込むとすぐに濁ってしまうので、小まめに洗ってあげる必要があります。特に夏場や乾燥する冬場は、水が蒸発して皿が空になりがちなので気をつけたいところです。清潔な水が常に飲める状態がベストですが、もしどうしても汚れるのが気になるなら、2〜3日に1回は水皿を軽く消毒して、しっかりすすいで乾かしてから戻すと衛生的ですね。
また、ヤモリがひっくり返してしまう可能性もあるので、少し重さのある陶器製の水皿が安心です。プラスチックでも構いませんが、滑らない加工がされているタイプのほうが倒されにくいです。「ヤモリが水を倒して飲めなくなる」といった事故だけは避けたいですね。
飼育環境のチェックリスト

ここでは、飼育を始める際にそろえておきたい必需品をチェックリスト形式でまとめますね。お迎え前にしっかりチェックして、不足がないようにしましょう。
✅ ケージサイズ:最低 30cm×20cm程度(横幅45cm以上がオススメ)
- ガラスケージ or 通気性の良いプラスチックケース
- フタはロック機能付きか、重しを置くなどして脱走対策を
✅ 床材:爬虫類用の細かいサンド(デザートサンドなど)がオススメ
- 深さ5~10cmくらい敷ける量を用意する
- 湿度シェルター用の砂は別途湿らせる
✅ シェルター:2つ以上推奨
- ホットスポット用とクールスポット用
- 暗く狭い構造で安心できるもの
✅ 保温器具:スポットライト or ヒートマット
- 温度勾配を作る
- 夜間はアンダーヒーターや弱めのヒーターで保温することも
✅ 温湿度計
- ケージ内の温度と湿度を随時確認できるように
✅ 給水設備:浅い水皿
- ヤモリが浸からない深さで
- 霧吹きでの補助給水も検討
✅ 掃除用具:フンや尿酸をスポット清掃するピンセットなど
- こまめに掃除して清潔を保つ
✅ 紫外線ライト(UVBライト):お好みや方針による
- 弱めのUVB(5.0程度)を日中だけ照射すると健康維持に◎
このあたりが最低限揃えば、ナメハダタマオヤモリを快適に迎え入れる準備はばっちりですね。
購入時、お店の人に確認すべき事

お迎えする前には、ショップの店員さんにもいろいろ確認しておくと失敗が減ります。こうした情報をあらかじめ把握しておけば、いざ飼育を始めたときにも対応しやすいですし、長期的に健康を維持させるための手がかりになりますよ。
リスト化しましたので、参考にしてみてください。
健康状態(見た目や動き)
ヤモリがしっかり動いているか、痩せすぎていないか、皮膚に傷や変色がないかなどを聞いてみましょう。購入前に実際に見せてもらい、なるべく体調の良い個体を選びたいですね。
給餌頻度と種類
今どんな餌(コオロギ、デュビア、ミールワームなど)を与えているのか、それを何日に一回、どれくらいの量で与えているかを確認しておくと、買って帰った後もスムーズに移行できますよ。
雌雄の判別
オスがほしい、メスがほしいなど希望があるなら、店員さんに可能な限り雌雄を判定してもらいましょう。ただし小さい個体だと判定が難しい場合も多いので要注意です。
先天的な不調や障害の有無
尻尾が再生尾かどうか、骨が曲がっていないかなど、外見で分かる不調の有無はあらかじめ確認するに越したことはありません。
店頭の飼育期間と状態
店頭に来てからの飼育期間が極端に短いと、まだ体調が安定していない可能性もあります。どれくらいの間飼育していたのか聞いておくと安心ですね。
まとめ
ナメハダタマオヤモリの飼育環境について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
飼育環境が整えば、ナメハダタマオヤモリは思った以上にスムーズに馴染んでくれます。一つ一つしっかり準備していけば問題なく飼育できますし、むしろ丈夫さゆえに飼いやすいと感じる方が多いかもしれませんね。
準備段階からきちんと計画を立てれば、後々のトラブルも最小限に抑えられますよ。
次の記事では、ナメハダタマオヤモリの飼育方法について、解説していきます!