【用語解説「紫外線」】UVA?UVB?爬虫類に必要な「紫外線」について解説!

トカゲ
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皆さんこんにちは、ひとしきです。

今回は「爬虫類に必要な紫外線」について、解説していきます。

爬虫類飼育、特に「昼行性の爬虫類を飼育する際には紫外線が大切!」とよく言われますが、UVAとUVBの違いについて、実は理解できている方は少ないかもしれません。

この2つの紫外線はそれぞれ異なる役割を持ち、爬虫類の健康に大きく影響します。

〇 UVAは食欲や行動の活性化に関与し、爬虫類の「生活リズム」を整える重要な光。

〇 UVBはカルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持するために不可欠。

では、どんな種類の爬虫類にUVA・UVBが必要なのか?どんなライトを選べばいいのか?
この記事では、爬虫類飼育における紫外線の基礎知識を分かりやすく解説します!

「バスキングライトの選び方がわからない……」

「うちの子に必要なライトはどれ?」

そう感じている方は、ぜひ参考にしてみてください!

紫外線(UV)とは?

まず紫外線(UV)は、波長の違いによって「UVA」「UVB」「UVC」の3種類に分かれます。

  • UVA(長波長紫外線)
  • UVB(中波長紫外線)
  • UVC(短波長紫外線)

ですね。

太陽光には、UVA、UVB、、UVCの3種類の紫外線が含まれていますが、UVCは有害なうえ地表には届かないので、飼育ライトでも使われません。

ですのでここでは、爬虫類の飼育で特に重要なUVAとUVBについて詳しく見ていきましょう。

UVA(長波長紫外線):行動・食欲・繁殖を活性化

UVAは、爬虫類の自然な行動を促す光として用いられます。

  • 波長:320~400nm
  • 影響:食欲、活動量、繁殖行動の活性化
  • どんな爬虫類に必要? → 昼行性の爬虫類全般(リクガメ、フトアゴアゴヒゲトカゲ、グリーンイグアナなど)

昼行性の爬虫類は、UVAを感じることで「昼だ!」と認識して活発に動き、餌を探したり繁殖行動をしたりします。

また、日光浴を促す効果もあります。

逆にUVAが不足すると、食欲が落ちたり、活動量が減ったりすることがありますね。

まとめるとこんな感じです。

● UVAの効果

行動や認識に影響(食欲・繁殖行動の活性化)
視覚のサポート(多くの爬虫類はUVAを感じ取る)
日光浴の習慣を促す

▶ UVAが不足すると?

食欲不振繁殖行動の減少
昼行性の爬虫類が活動しにくくなる
行動範囲が狭まり、ストレスが増える

★ UVAが必要な爬虫類

昼行性の爬虫類(例:アゴヒゲトカゲ、グリーンイグアナ、リクガメ)

UVB(中波長紫外線):ビタミンD₃の合成とカルシウム吸収を助ける

UVBは、ビタミンD₃の合成を促進し、カルシウムの吸収を助ける働きを持っています。

  • 波長:280~320nm
  • 影響:ビタミンD₃の生成、カルシウムの吸収促進、骨の成長をサポート
  • どんな爬虫類に必要? → 昼行性爬虫類のうち、日光浴をする種類(リクガメ、フトアゴアゴヒゲトカゲ、オオトカゲなど)

爬虫類の多くは、食事から摂取したカルシウムを効率よく利用するためにビタミンD₃が必要ですが、このビタミンは皮膚がUVBを浴びることによって生成されます。

すなわち紫外線を浴びることで体内でビタミンD₃が合成され、カルシウムを効率よく吸収できるというわけです。

UVBを十分に浴びることができないと、ビタミンD₃の生成が不十分になり、結果としてカルシウムを適切に吸収できなくなります。その結果骨が弱くなり、変形や骨折を引き起こす「くる病」のリスクが高まってしまいます。

特に、日光浴を必要とするリクガメやアゴヒゲトカゲ、オオトカゲなどの昼行性爬虫類にとって、UVBの照射は不可欠といえます。

逆に、夜行性のレオパードゲッコーやクレステッドゲッコーなどは、UVBをほとんど必要としません。彼らは進化の過程で、食事からビタミンD₃を摂取する能力を獲得しているため、UVBがなくてもカルシウムの吸収を適切に行うことができます。

ですが人によっては、夜行性の爬虫類でも低レベルのUVB照射が健康に良い影響を与える可能性があるという意見もあります。自然界ではUVBがない状態はあり得ませんので、自然環境に準じるのであれば、低レベルのUVBはあった方が良いのかもしれませんね。

まとめるとこんな感じです。

● UVBの効果

ビタミンD₃の合成(カルシウム吸収に必須)
骨の成長と健康維持
代謝機能の正常化

▶ UVBが不足すると?

くる病のリスク増加
カルシウム不足による骨折や奇形
消化不良や筋力低下

★ UVBが必要な爬虫類

日光浴をする昼行性爬虫類(アゴヒゲトカゲ、リクガメ、イグアナ)
成長期の爬虫類やカルシウム摂取が重要な種

※:夜行性の爬虫類(レオパードゲッコー、クレステッドゲッコーなど)は、ビタミンD₃を餌から摂取できるため、UVBはほぼ不要

UVA・UVBライトの選び方

爬虫類に適切な紫外線を与えるためには、飼育環境に合ったライトを選ぶことが重要です。飼育する爬虫類によって必要な紫外線は異なりますので、しっかりと確認することが必要ですね。

そのライトがUVAを照射するのかUVBを照射するのかはパッケージに記載されていますので、こちらもしっかり確認して、購入してくださいね。UVBについては強さ(5.0や10.0など)もありますので、併せて確認してください。

また、特にUVBは、ライトから距離が離れるほど弱くなります。効果範囲が30㎝以内という商品もありますので、設置する位置には注意が必要です。

UVAを照射するためには、ハロゲンランプ一部の白熱球、さらにはメタルハライドランプなどが有効です。メタルハライドランプを除き、比較的安価なものが多いです。

一方、UVBを照射するためのライトには、蛍光管タイプコンパクトUVB電球水銀灯(MVB)などがあります。蛍光管タイプのUVBライトは安定した紫外線を供給できるため、多くの飼育者にとって扱いやすい選択肢ですが、照射距離が短いため、爬虫類が適切な距離に近づけるような環境を整える必要があります。

メタルハライドランプは、UVAとUVBを同時に照射できるため、大型ケージで強い紫外線を必要とする種に適しています。

同じく水銀灯(MVB)はUVBとバスキング熱を同時に提供できるため、バスキングスポットを設ける必要のある種に適していますが、紫外線の照射量が強いため、設置位置を適切に調整しなければなりません。

また、UVAとUVBを同時に照射できる商品も販売されていますので、個人的にはこちらがオススメです。

注意するべきは、紫外線ライトを設置する際には、ガラスやアクリル越しではUVBがほとんど届かないことに注意が必要です。

そのため、特にUVBライトはケージ内に直接設置することが推奨されます。

多くの飼育ケージは透明なガラスやアクリル製ですが、これらの素材はUVBを遮断するため、ケージの外に設置されたライトの紫外線はほとんど内部に届きません。

また、UVBライトは時間とともに紫外線の照射量が減少するため、蛍光管タイプは6ヶ月から1年ごとに交換する必要があります。

まとめるとこんな感じです。

● UVAを照射できるライト

ハロゲンランプや一部の白熱灯
メタルハライドランプ(UVBも照射できる)

● UVBを照射できるライト

蛍光管UVBライト ⇒ 安定したUVB供給(30~50cmの距離推奨)
コンパクトUVB電球 ⇒ 小型ケージ向け(15~30cm推奨)
水銀灯(MVB) ⇒ UVBとバスキング熱を同時に供給(40~60cm推奨)

★ 注意すべきポイント

ガラスやアクリル越しではUVBは届かないため、ケージ内に直接設置する
✅ UVBの強さ(5.0や10.0など)を飼育する種に合わせて選ぶ

✅ 蛍光灯タイプのUVBライトは6ヶ月~1年ごとに交換が必要

紫外線の管理ポイント

紫外線ライトは適切に管理しておかないと、効果が減弱してしまいます。

まず、使用するライトの種類に応じて、適切な交換時期を守ることが大切です。ほとんどの場合は商品に記載されていますので、そちらを確認してください。

蛍光管タイプのUVBライトは時間とともに紫外線の出力が低下するため、6ヶ月から1年ごとに交換するのが理想です。

そして、ライトと爬虫類の距離を適切に保つことも重要です。

UVBは距離が離れるほど照射量が減少するため、ライトの種類に応じて適切な高さを設定する必要があります。こちらもほとんどの場合、商品に記載されていますね。

例えば、蛍光管タイプのUVBライトは30~50cmの距離が推奨され、水銀灯(MVB)は40~60cmの距離で使用するのが適切とされています。

照射距離が適切でないと、UVBの恩恵を十分に受けられなかったり、逆に過剰照射による皮膚のダメージを引き起こすことがあります。

飼育個体自身が好きに日光浴や退避ができるようなレイアウトにしておくと、非常に良いと思います。

また、UVBのみを照射する紫外線ライトは、ほかのバスキングライトと組み合わせて使用することが重要です。

爬虫類は適切な体温を維持しながら紫外線を浴びることで、ビタミンD₃の合成を最適化することができます。そのため、UVBライトとバスキングライトを併用し、適切な温度と光環境を整えることが理想的です。

まとめるとこんな感じです。

ライトの交換時期を守る(蛍光管は6ヶ月~1年、水銀灯は1年で交換)
UVBは距離によって効果が変わるため、適切な高さに設置する

バスキングライトと組み合わせて、適切な温度と光環境を作る

まとめ

UVAとUVBの違いについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?

爬虫類の健康を維持するためには、UVAとUVBの正しい理解と適切な管理が欠かせません。

UVAは爬虫類の行動や食欲を活性化する光。 昼行性の爬虫類には必要!
UVBはビタミンD₃を合成し、カルシウム吸収を助ける光。 昼行性で日光浴をする種類には必須!
夜行性の爬虫類はUVBをほぼ必要としないが、UVAの影響は受けることがある。
適切なライトを選び、定期的な交換と設置場所の調整を行うことが大切。

それぞれの役割を知り、飼育している種に合った紫外線ライトを選ぶことで、より自然に近い環境を整えることができます。適切な光環境は、爬虫類の活力や成長、さらには長寿にも影響を与える重要な要素です。

飼育する種の特性を理解し、大切な爬虫類たちが健康で快適に暮らせる環境を整えていきましょう!

では、また別の記事でお会いしましょう!