【ペットの逃亡】大変ってだけじゃすまされない!爬虫類ペットが逃げ出してしまった際に起きる様々な影響について、「法律」と「生態系」の側面から解説!

トカゲ
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皆さまこんにちは!ひとしきです。

今回は爬虫類ペットを飼育している飼育者全員に知っておいてほしい、「ペットが逃げてしまった場合に何が起こるのか」について、法律と生態系の側面から解説してきます。

爬虫類のペットは、飼いやすいイメージをお持ちの方も多いと思います。しかしそのほとんどが外来種(日本国内に生息しない生物)であり、逃げ出してしまった場合、その影響は飼い主の責任問題だけにとどまりません。

「まあ、見つければいいだけ」と安易に考えていると、とんでもないトラブルに発展する可能性があります。

爬虫類ペットを飼育している方にとって、脱走は最も避けたいトラブルの一つです。ですが、ちょっとした油断でケージの扉が開いてしまい、あっという間にペットが逃亡……なんてことも、珍しくありません。
青森県で1mを超える大型のトカゲが逃げ出した事件や、神奈川県でニシキヘビが逃げ出した事件などは、皆さまの記憶にもあると思います。

本記事では、ペットの逃亡が「大変だ」というだけでは済まない理由を、徹底的に解説します。爬虫類が逃げた場合に想定される生態系への影響や、法律違反に当たるケース、さらには具体的に何をすればいいのかをわかりやすくまとめました。

この記事を最後までお読みいただき、ぜひ今のうちに“逃亡対策”や“法律・生態系への配慮”を見直してみてくださいね。

外来爬虫類が逃げ出すとどうなる?

ペットとして販売されている爬虫類は、外来種(本来は日本国内に生息しない生物)である場合が多いです。

外来種が逃げ出すと、地域の生態系に大きな混乱をもたらす可能性があります。たとえば、捕食・被捕食のバランスが崩れて在来種が数を減らしてしまう恐れがありますし、夜間に食料をあさったり、繁殖して個体数を増やしたりするケースも考えられますね。

これが繰り返されれば、地域の植生や昆虫、さらには他の動物たちにも影響が波及。非常に大きな影響を与えることになります。ブラックバスによる生態系の破壊などは、生き物に詳しくない人でも知っていることと思います。

温暖化の進行で気温が上昇している地域では、亜熱帯性や熱帯性の外来種が定着しやすくなるといわれています。ペットとして持ち込まれる爬虫類は熱帯に生息する種も多く、沖縄ではグリーンイグアナが定着してしまった例もあるんですね。

また、爬虫類は一般的なペット(犬や猫)と異なり、見た目や行動が恐怖感を与えることがあります。ペットとして飼育されていた爬虫類が逃げ出した場合、近隣住民が驚くだけでなく、恐怖心から行政に通報され、冒頭で挙げたように大きなニュースのような、社会的な問題へと発展する可能性もあります。

つまりペットが逃げることは、自然界への影響と社会への影響が大きく、飼い主の想像をはるかに超えるトラブルの引き金になり得るのです。

関連する法律と違反

爬虫類が逃げ出した際、どのような法律に触れるのかは飼育する種類によって異なります。法律は非常に難しいですが、自身が飼育している爬虫類がどの法律に関係しているかは確認しておきましょう。

逃げ出したペットが万が一、人を傷つけたり財産を損なったりする事態が起きれば、刑法上の責任問題に発展する危険があります。法律を軽んじれば、ペットを守るどころか、取り返しのつかない事態に陥る可能性がある点を十分に認識しておきましょう。

特に以下に該当するかどうかは、把握しておいてください。

✅ 特定動物

✅ 外来生物

該当する爬虫類種の飼育には許可が必要だったり、届け出義務があったりします。飼育者はこうした規制をしっかりと調べ、飼育前に申請手続きを行う義務を負います。そして、申請の不備や無許可飼育が発覚した場合、行政罰や刑事罰を受けるリスクがあります。

飼育施設の基準や安全管理の手順を満たしていないと判断されれば、飼育許可が下りない、あるいは取り消されることもあるので注意が必要です。

特定動物の許可制度

特定動物とは、人に危害を加える恐れのある動物(例: ワニ、毒蛇)を指します。これらを飼育するには、都道府県知事の許可が必要であり、飼養施設の基準を満たす必要があります。

違反内容と罰則

  • 無許可飼養: 許可を得ずに特定動物を飼育した場合、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
  • 基準違反: 飼養施設が基準を満たしていない場合、許可が取り消される可能性があります.

具体的な事例

  • ワニガメの無許可飼育: 熊本市での事例では、ワニガメが特定動物に指定されているにもかかわらず、無許可で飼育されていたことが発覚しました。このケースでは、飼い主が規制を知らなかったと主張しましたが、違反が認定されました。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

これは、生態系や農林水産業、人の生命・身体に被害を及ぼす恐れのある外来生物の飼育や輸入、販売などを規制する法律です。特定外来生物(例: カミツキガメ、ミドリガメ)を無許可で飼育したり、野外に放出することは禁止されています。

違反内容と罰則

  • 無許可飼養: 許可なく特定外来生物を飼育した場合、個人には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
  • 野外放出: 許可なく野外に放出した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。法人の場合は1億円以下の罰金が適用されることもあります.

具体的な事例

  • ミドリガメの野外放出: ミドリガメが野外で繁殖し、生態系に悪影響を与えている事例が多発しています。これにより、外来生物法違反で摘発されるケースが増えています。

動物愛護管理法

動物愛護管理法は、動物の命を尊重し、適切な飼養管理を行うことを目的とした法律です。この法律では、動物の虐待や遺棄の禁止、飼い主の責任、飼養基準などが定められています。爬虫類も「愛護動物」に含まれ、飼い主には適切な管理が求められます。

違反内容と罰則

  • 虐待: 動物をみだりに傷つけたり、必要な世話を怠る行為は「虐待」とされ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
  • 遺棄: 飼育放棄や野外への放出は「遺棄」とみなされ、同様に1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

具体的な事例

  • カメとトカゲを衰弱死させた事件: 2020年、浜松市でアパートで飼っていたイシガメやクサガメなどカメ約40匹と、フトアゴヒゲトカゲ1匹に餌や水をやらず衰弱死させた事件。警察の捜査では、店内には白骨化したカメとトカゲの死骸が放置されていたそうです。

自然界への影響

飼育しているペットが逃げ出した場合、自然界にどのような影響が発生するかはわかりません。逃げ出した爬虫類は小さな1匹でも、野生化すれば、生態系に与える影響は非常に大きなものとなります。
また、野生化した爬虫類が繁殖に成功すると、その数は驚くべきスピードで増加し、元に戻すには莫大なコストと時間がかかることも知られています。

今までその地域に居なかった外敵が急に出現すると、その地域の生物たちは対応できず数を減らします。たとえば肉食性のトカゲが逃げ出せば、小型哺乳類や鳥類、昆虫などが大量に捕食され、生態系のピラミッドが崩壊してしまいます。
そこから連鎖的に他の動植物へ影響が及び、植物の種子散布や花粉媒介を行う在来動物の減少からその地域固有の植物も衰退。やがては土壌の性質や水資源にまで影響を与える恐れがあります。

全く関係ないと思われるような事象も、実は関係していることもあるんですね。

また、外来の爬虫類が新たな寄生虫や病原体を媒介するリスクもあります。
人間や家畜、在来の野生動物にとって未知の感染症を広めてしまう事態が起これば、公衆衛生上の大問題になります。特に温暖化の進展により、日本国内でも亜熱帯性の病原体や寄生虫が定着しやすくなっていることから、このリスクは今後さらに高まると考えられます。

まとめ

今回は爬虫類ペットが逃げ出すとどうなるのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?

ペットの逃亡は、「見つければいいや」という安易なものではありません。

とくに爬虫類が逃げ出せば、外来種として生態系に多大な影響を与え、法律違反につながるリスクも高いのです。飼育者としては、まずしっかりとケージや環境を整備し、逃亡防止策を徹底する必要があります。もし飼育が難しくなれば、自然に放すのではなく、専門の保護団体や里親など正当な手段を選ぶことが重要です。

環境だけでなく経済面・社会面にも大きな影響を及ぼすため、ペットを飼う段階から「もし逃げたらどうなるか」を真剣に考えることが不可欠です。爬虫類の飼育は多くの喜びをもたらしますが、飼い主には自分の楽しみを超えて、周囲の自然環境や社会へ配慮する責任があることを再度認識しておきましょう。

最後に、よくあるQ&Aを挙げています。参考にしてみてくださいね。

それではまた、別の記事でお会いしましょう!

よくあるQ&A

Q1. 爬虫類が逃げ出したら、まずどうすればいいですか?

まず家の中を徹底的に探しましょう。
家具や家電の裏、暖かい場所、水場などをくまなくチェックし、特に暖かいスポット(冷蔵庫の裏や配管周り)を重点的に探しましょう。また、逃げたペットの種類に応じて、「ヘビなら高所にも登る」「トカゲなら狭い隙間を通り抜ける」など行動特性を考慮することが重要です。

外に出た疑いがある場合は、近所や自治体、管理人に連絡し、SNSや張り紙で情報を共有する。逃亡状況を正確に説明して、危険な種類の場合は速やかに警察や専門機関に相談しましょう。

    Q2. どうやって爬虫類の逃げ出しを防ぐ?

    鍵付きのケージや二重扉タイプを採用し、ケージそのもののセキュリティを強化しましょう。
    不注意で逃げ出すことのないように、子どもが届かない位置に設置したり、犬や猫が同居しているのなら、触れられないように専用部屋を用意するのが理想的です。

    Q3. 法律違反にならないためにはどんな手続きや確認が必要?

    飼育予定の爬虫類が特定外来生物に指定されていないかを、環境省や自治体のウェブサイトで確認しましょう。もし特定外来生物の場合は許可を取る必要があるため、事前に申請手続きを行います。

    動物愛護管理法や地方自治体の危険動物条例も確認しておきましょう。必要であれば、飼育施設の基準を満たしているか確認し、自治体へ必要書類を提出します。輸入歴のある個体ならワシントン条約の手続き書類(輸入証明など)がちゃんとあるかもチェックが必要ですね。

      Q4. 生態系に悪影響を与えないための心がけは?

      ケージから逃がさないのが大前提ですが、万が一にも逃げ出さないよう複数の物理的防御策を用意しましょう。また、飼育場所の温度や湿度、照明などを適正に保ち、ペットがストレスを感じて脱走しようとしない環境を整えることも大切です。

      ペットの飼育が困難になったときは「放す」のではなく、専門の保護団体や里親探しの仕組みを利用する。自然に放つ行為は絶対に避け、生態系に負荷をかける行為をしないという意識を持つことが重要です。

        Q5. もし逃した爬虫類が人に危害を加えたり、野生化してしまったらどう責任をとる?

        まず飼い主には法的責任があります。損害賠償や行政処分など、社会的ペナルティが生じることを覚悟しなければなりません。

        その前提で、迅速に自分が住む地域の自治体や警察に相談し、可能な限り捕獲を行う努力を尽くす必要があります。飼育者コミュニティや動物保護団体など、協力を得られるネットワークを日頃から持っておくと対処がスムーズになります。最悪の事態を想定し、万が一の保険や補償制度に加入しておくのもリスク管理として有用ですね。