皆さまこんにちは!ひとしきです。
今回は「メキシカンブラックキングスネークの生態」について、解説していきます。
皆さまは、ペットとして人気上昇中のメキシカンブラックキングスネーク(通称メキブラ)をご存じでしょうか?真っ黒な体色が美しいこのヘビ、その見た目だけでなく、生態もとてもユニークなんです。
本記事では、その生態を基本情報から食性、行動、繁殖まで網羅的に解説します。
「メキブラって、どんなヘビ?自然界ではどんな生活をしているの?」
「野生での習性を知って飼育に生かしたい!」
そんな疑問を解決できる内容となっております!
飼育を成功させるには、野生での習性を知ることが近道です。野生下での生活や食性、繁殖行動などを知れば、きっとメキブラの魅力にもっと惹かれるはずです!
専門的な内容が盛りだくさんですので、ぜひ最後までご覧ください!
購入前に確認したい、飼育環境についてはこちら!【メキシカンブラックキングスネークの飼育環境】理想の飼育環境とは?購入前に整える!ケージ準備から温度・湿度管理まで徹底解説!
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よくあるQ&Aについてはこちら!【メキシカンブラックキングスネークのQ&A】初心者の疑問をすべて解決!メキブラ飼育でよくある質問集
基本情報

生物学的分類
- 学名:Lampropeltis getula nigrita (一般には Lampropeltis nigrita とも表記)
- 英名:Mexican Black Kingsnake(別名Black Desert Kingsnake)
- 分類:ナミヘビ科キングヘビ属(Colubridae科 Lampropeltis属)の一種で、コモンキングスネークの亜種とされています。
分布
メキシコ北西部(ソノラ州、シナロア州)および米国アリゾナ州南部の一部に生息。主にソノラ砂漠地帯の、岩石が多い半乾燥地域に見られます。
体長
約100〜120cm、最大で約150cm程度。個体差はありますが、メスよりオスの方がやや大型になる傾向があります。
寿命
飼育下では15〜20年ほど生きるのが一般的。野生下では天敵や環境要因により寿命は10年前後と考えられています。
活動時間帯
野生では主に夜間に活動する夜行性です。ただし春や秋の比較的涼しい季節には、朝夕に日光浴をする姿が見られることもあります。
生息地の環境と生態

生息環境は乾燥した荒野から半乾燥の砂漠地帯で、日中の高温と夜間の冷え込みが激しい地域です。そのため、涼しい隠れ家を確保しながら獲物を求めて行動する習性があります。
岩の隙間や他の動物が掘った巣穴、倒木の下などに身を潜めて休むことが多く、外敵から身を守りつつ暑さも凌いでいます。特に日中はこうした隠れ場所で休息し、夜間に活動することでエネルギーを効率よく使っています。
体温を上げる必要がある朝晩には、落ち葉の下や地表近くで日光に当たる行動(バスキング)を短時間行うことがありますが、高温になる前に再び隠れ家に戻ります。
乾燥地帯に生息していますが、水場があれば水に入ることもあり、体を冷やしたり脱皮を助ける行動も見られます。餌を求めて意外な行動範囲を持つこともあり、地上を這いまわるだけでなく低木に登ったり、水中で泳いだりする姿も確認されています。
秋から冬にかけて気温が下がる季節になると、活動を徐々に減らし、寒冷地の個体群では冬眠(休眠)に入ります。岩の割れ目や地下の巣穴など凍らない場所を見つけ、冬の間は代謝を下げて春までじっと過ごします。
外敵としては、地域により猛禽類(ワシやタカ)、大型の肉食哺乳類(アライグマやスカンクなど)、さらに自分より大きなヘビなどがメキブラを捕食対象とすることがあります。しかし成体のメキブラは、夜行性で隠密性が高いため、天敵に遭遇する機会は多くありません。また、危険を感じた際には後述するような防御行動(威嚇や悪臭を放つ)で身を守る術も発達させています。
食性

メキシカンブラックキングスネークは肉食性であり、非常に幅広い食性を持っています。野生下では主に小型の哺乳類や爬虫類、小型の鳥類やその卵、カエルやサンショウウオなどの両生類を食べることも報告されています。
そして一番の特徴は他のヘビを捕食することですね。キングスネーク属は他のヘビの毒に対する耐性を持ち、場合によっては有毒種のガラガラヘビなども獲物にする上、共食いの習性があります。
餌と認識できるサイズのヘビであれば、たとえ自分と同種であっても捕食対象にしてしまうことがあります。野生下で成体同士が出会うことは稀ですが、特に空腹時や体格差がある場合に出会ってしまうと、一方が他方を襲う可能性があります。
捕食の際は、獲物に噛みついた後体に巻き付いて締め上げ、窒息させてから飲み込みます。他のヘビと同様、顎が非常に可動性に富み、自分の頭部より大きな獲物でも丸呑みできます。食事の頻度は野生下では獲物のサイズと入手頻度によりますが、満腹になるとしばらく食べなくても活動できる省エネな生態を持っています。
行動学的特徴

メキシカンブラックキングスネークは、基本的に他個体と群れを成すことはなく、繁殖期以外は一匹で行動します。行動は「慎重で単独行動が基本、しかし餌となると大胆になる」という二面性を持っています。
縄張りはあまり広くなく、野外での観察では個体ごとに決まった範囲内(数百m2程度)を行き来して生活しているとされています。縄張り意識は強くありませんが、餌場や繁殖相手を巡って他個体と出会うことがあれば争いが起こることもあります。特に繁殖期には後述のようにオス同士がメスを巡って闘争する姿が確認されています。
キングスネーク属は地表性ではありますが、実は意外と器用なんです。体は細長く筋肉質で、這うスピードはゆっくりしていますが木に登ることもでき、また泳ぐ力も持ち合わせています。野生下では獲物を追って低い木に登ったり、川や水たまりを横切ることもあります。地上では、地表の匂いや痕跡を敏感に嗅ぎ分けて獲物を探しています。舌を頻繁に出し入れするのは、空気中の化学物質(匂い)を感知して周囲の状況を探るためですね。
天敵に遭遇した際はすぐに噛みつくような攻撃に出るのではなく、体をS字にくねらせ、シューッという音を立てて威嚇の鳴き声を発します。尻尾を素早く振って落ち葉の上などで音を出し、まるでガラガラヘビのように自分を大きく怖く見せる行動をとることもありますね。また、肛門付近にある臭腺から強烈な臭いを放つ液体を分泌することができ、敵をひるませる防御策も持っています。この液は人にとっても鼻をつく臭いがあり、野生動物であれば捕食者が嫌がって逃げ出します。
それでも捕まれそうになった場合には最終手段として噛みついて抵抗しますが、できるだけ逃走しようとするヘビなんですね。
野生化での繁殖

メキシカンブラックキングスネークの繁殖期は、春から初夏にかけてです。
冬眠から目覚め気温が上がり始める3月〜4月頃になるとオスは交尾相手を求めて活発に動き回るようになります。メスが発するフェロモン(臭い)を頼りにオスはメスの居場所を探し出し、繁殖行動が始まります。野外ではオス同士がメスを巡って争う姿が観察されており、2匹のオスが互いに体を絡め合い、力比べをします。勝ったオスだけがメスと交尾でき、負けたオスはその場から退散します。
メスは交尾から数週間後に産卵の準備に入り、適切な産卵場所を探します。
産卵場所として好まれるのは、地中や倒木の隙間、朽ちた丸太の中、岩の陰などの安全で適度に湿気のある場所です。メスはそうした隠れた環境に1クラッチ(1回)に平均で6〜12個程度、多い時で20個以上の卵を産みます。
卵はおよそ60日で孵化します。生まれた直後の幼蛇は全長で約20〜30cmほどですが、親と同じく真っ黒な体色をしており、すでに小さな獲物を捕らえるだけの本能を備えています。孵化した幼蛇たちは卵の中にあった栄養を吸収し終えると数日以内に最初の脱皮を行い、本格的に行動を開始します。
成長速度は環境と餌の豊富さによりますが、性的成熟(繁殖可能な大きさ)に達するまで通常2〜3年程度かかります。飼育下では十分な餌を与えることでメスで2年ほど、オスで1年半ほどで成熟した例もあります。メスは成熟すると毎年繁殖可能ですが、年に複数回産卵することは稀で、通常は年1回の繁殖サイクルですね。
まとめ
メキシカンブラックキングスネークの生態を見てきましたが、いかがだったでしょうか?
「キングスネーク」の名に恥じない食性を持ちますが、基本的には慎重で、攻撃性はそこまで高くありません。飼育難易度も高くなく、初心者向けともいえる種類だと思います。
すでに飼育されている方は、ぜひ今回得た知識を、飼育や観察の際に役立ててみてください。
野生下で何を食べ、どう動き、どのように次世代へ命を繋いでいるのかを理解することで、メキブラの飼育がより楽しくなると思います!
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