【ナメハダタマオヤモリの繁殖】ブリードしたい方必見!交配から卵管理、ふ化後の育成まで徹底解説

ナメハダタマオヤモリ
記事内に広告が含まれています。

皆さまこんにちは!ひとしきです。

今回は「ナメハダタマオヤモリの繁殖」について、深掘りして解説していきます。

順調に飼育ができてくれば、繁殖してみたい!と思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、ただオスとメスを同居させるだけではうまくいかないことが多いんです。適切な温度管理や繁殖環境、そしてモルフに関する知識も欠かせません。

本記事では、繁殖の前提条件や環境づくり、交配方法から卵の管理、ふ化後の飼育まで、専門的な内容をしっかりまとめます。

「ナメハダタマオヤモリを繁殖させたいけれど、何から始めればいいの?」

「モルフに興味があるけど、どんな遺伝パターンがあるの?」

このような疑問にお答えできる内容となっております!

きちんとした準備と知識を身につけることで、健全なブリーディングにつながります。興味がある方は、ぜひ読み進めてください!

ナメハダタマオヤモリに関する他の記事はこちらからどうぞ!ナメハダタマオヤモリ

繁殖に挑戦する前に考えること

ナメハダタマオヤモリの繁殖に挑戦するなら、まず「ブリーダーとしての責任」をしっかり考えてほしいんです。

単に増やせばいいというものではなく、生まれた子どもをどう育て、最終的にどうするかという長期的な視点が必要です。飼育スペースは十分確保できるか、繁殖後に販売や譲渡を考えているなら、引き取り手を探せるあてがあるかなど、事前に検討すべきことはたくさんありますね。

また、実際に繁殖を行うには、冬場のクーリングやペアリングのタイミング、産卵床の用意、インキュベーターの準備など、通常の飼育以上に手間や知識が求められます。そして、繁殖はメスの体力に大きな負担がかかります。オスは複数のメスと交配できる場合がありますが、メスが無理をして連続産卵すると、栄養不足や産卵トラブルの原因になるかもしれません。繁殖は「親ヤモリの健康第一」というスタンスで行うのが理想です。

とはいえ、産まれてきた小さなベビーを育てる体験は格別で、だからこそ多くの愛好家が繁殖に挑戦しているんです。自分なりの繁殖プランを立て、必要な環境や餌の確保ができることを確認したうえで、一歩踏み出してくださいね。

繁殖環境を整える

まず、実際に繁殖を狙うには、飼育ケージとは別に繁殖専用の環境を用意する方法がオススメです。

メスが産卵しやすいように、床材を厚めにして柔らかく保つ必要がありますし、オスとの同居タイミングを見極めたい場合はセパレート飼育を行いやすいレイアウトにすると良いですね。これらを考えると、一般的には横幅60cm以上、奥行き30〜45cm程度のケージが使いやすいと思います。

そして大事なのが、冬場(日本なら12〜2月あたり)のクーリングです。野生のナメハダタマオヤモリは、オーストラリアの冬に当たる時期に活動を落とし、体を休めることで繁殖に向けた準備を整えています。飼育下でもこのサイクルを再現すると、交尾率や産卵率がグッと上がると言われます。夜間温度を15℃前後、日中でも20℃前後に下げ、照明時間も短めに管理しましょう。期間は4〜8週間ほどが目安で、徐々にクーリングして、徐々に戻していくのがポイントです。

砂を掘りやすい床材や、深めの産卵床を作っておくと、メスが自分で産卵場所を選んでくれます。床材はふかふかの砂に加えて、少し湿り気をキープできるよう霧吹きしてあげるのも効果的です。産卵が近づくとメスが床材を盛んに掘る仕草を見せるので、そのタイミングを逃さないように観察しましょう。

チェックリスト

  • クーリング期間(4〜8週間)
  • オス・メスの健康チェック
  • ペアリングスペースとセパレート飼育の準備
  • 床材を厚めに、適度な湿度を保つ
  • カルシウムと高栄養のエサをしっかり用意

交配方法と手順

クーリングが終わったら、オスとメスの健康状態をしっかりチェックしてから同居させます。

メスが受容態勢なら比較的スムーズに交尾が行われますが、メスが乗り気でないと逃げ回ったり攻撃的になることもありますね。その場合は無理をせず、再度クーリング明けから時間をおいて別のタイミングを見計らうと良いですよ。交尾自体は短時間で済むものの、オスとメスをずっと同居させておくと、オスが執拗に追い回してメスが痩せたりストレスを受けやすいので、交尾後は早めに個体を分ける方がいいですね。

交尾成立後、メスは体内に精子を一時的に貯められる場合があり、1シーズンに複数回の産卵が可能なんです。

メスが妊娠してお腹に卵を抱え始めたら、お腹の両側に白く透ける卵の輪郭が見えることがあります。頻繁に砂を掘る行動が始まったら産卵が近いサインですね。適度にカルシウムを補給しつつ栄養価の高いエサを与えるといいです。

環境に慣れたメスはスムーズに産卵を行いますが、まだ若いメスや体調の万全でないメスだと卵詰まり(産卵困難)を起こす恐れもあるので注意して観察してください。

卵の管理

卵を産んだら、できるだけ早く「インキュベーター(孵化器)」に移します。卵は衝撃や向きの変化に弱いので、掘り出す際には表面に印をつけて上下を変えずに扱ってください。バーミキュライトやパーライトなどの保湿性のある培地を用いて、約28℃前後、湿度80%程度を目安に管理しましょう。

温度によって孵化日数が変わり、高め(30℃)なら50日台、低め(26℃)なら70日以上かかることもあります。

卵表面にカビが生える場合もありますが、すぐに捨てる必要はありません。内部の胚が生きていれば、カビを除去しながらそのまま孵化する例もあります。適度に換気を行いつつ、培地を乾燥させすぎないように注意してください。もし卵がひどくしぼんだり、腐敗臭がするようなら残念ながら胚が死んでいる可能性が高いです。

ふ化した後

孵化直前になると卵が少しへこんだりシワが寄ってきます。孵化したベビーは非常に小さいので、最初はインキュベーター内でしばらく休ませてあげると安心ですね。自力でしっかり動き回れるようになったら、小さい飼育ケースに移動して単独飼育を始めましょう。兄弟であっても共食いや尾をかじる事故が起こることがあるので、孵化直後の複数飼育はリスクが高いと言われています。

最初の1週間ほどはまだ体力が安定しないので、極力ストレスを与えないようにしましょう。小さな床材入りのケースに入れて、温度や湿度をしっかりキープしつつ、小さな獲物(Sサイズのコオロギや小さいレッドローチなど)を与えるといいですね。給餌頻度は幼体なので毎日か1日おきくらいでも大丈夫ですが、食べ残しやフンはこまめに掃除して清潔を保ちましょう。

カルシウム剤は成体以上に重要です。骨格形成期なので、脱皮ごとに成長していくベビーには不足が大きなダメージになります。UVBを照射する方法もありますが、眩しい光を嫌がるベビーもいるので、小さなシェルターで暗いスペースを確保してあげましょう。

順調に育てば半年〜1年程度で性成熟に達し、次の繁殖サイクルにつなげられるようになります。

モルフの種類と遺伝的特徴

ナメハダタマオヤモリは野生下では体色や模様に多少の変異がある程度ですが、近年は飼育下繁殖によって品種改良(モルフ)も生み出されています。

代表的なモルフとしては、アルビノ(Albino)とパターンレス(Patternless)が挙げられますね。

アルビノは先天的にメラニン色素を欠いた個体で、赤い瞳と淡い黄色~オレンジ色の体色をしています。パターンレスは通常見られる背中の斑紋や帯模様が消失し、全体が単色調になる変異です。このパターンレス変異は遺伝的に起こる可能性が指摘されており、特定のブリーダーから得た親同士から模様の無い子が生まれた例が報告されています​ね。

これらのモルフはいずれも劣性遺伝の形質と考えられており、表現型として現れるには親からその遺伝子を両方受け継ぐ必要があります(いわゆるヘテロ同士の掛け合わせで現れる)。実際、アルビノとパターンレス双方の遺伝子を持つ「ダブルヘテロ」個体同士の交配から、アルビノやパターンレス、あるいは両方の特性を持つアルビノ・パターンレスの個体が作出されています​。アルビノ・パターンレスは全身がクリームホワイトに近い色合いで非常に美しく、近年注目を集めているモルフなんです。

その他、背中のラインが濃く強調されたストライプ傾向の個体や、赤味の強い体色を持つ系統(Magmaと呼ばれるラインブリード系統)などもブリーダー間で作出・交配が進められています​。モルフの遺伝パターンを理解し計画的に交配することで、さまざまな色彩変異を固定していくことが可能です。

ただしナメハダタマオヤモリの場合、亜種間交配によるモルフ作出も行われている点に留意が必要です。例えばアルビノは当初別の亜種でN. l. pilbarensis(ピルバラ亜種)で発現したため、この遺伝子を基亜種N. l. levisへ導入するために亜種間で交配した例があります。そのためモルフ個体の中には純粋な亜種ではなく混血の血統も存在します。

繁殖の際にはモルフの魅力と種の保全(純血性)とのバランスを考慮する必要があるでしょう。現在市場で流通するモルフ個体は数としてはまだ少ないですが、繁殖経験の豊富な上級者の間で盛んにプロジェクトが進められており、今後さらにバリエーションが増える可能性がありますね。

モルフの作出についてはこちらも参考にしてみてください!【モルフの作出方法】レオパードゲッコーで学ぶモルフ作出!爬虫類の色や柄を新たに生み出す方法について解説

まとめ

ナメハダタマオヤモリの繫殖について解説しましたが、いかがだったでしょうか?

繁殖は、クーリングや交尾、卵の管理など、通常の飼育より手間と知識が求められますが、そのぶんベビーが生まれた瞬間の喜びは格別ですよね。ただし、増えた個体をどう扱うか、メスへの負担をどう軽減するかなど、ブリーダーとして事前に考えておくポイントも多いです。

計画的に準備してこそ、親子ともに健康的な繁殖が可能になりますよ。

次の記事では、よくあるQ&Aをご紹介します!