【ロイヤルバタフライアガマの生態】最大級のバタフライアガマ!生息地から行動まで徹底解説

トカゲ
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皆さまこんにちは!ひとしきです。

今回は「ロイヤルバタフライアガマの生態」について、解説していきます。

ロイヤルバタフライアガマ(別名:ジャイアントバタフライリザード)は、美しい斑点模様と色彩を持ち、バタフライアガマ属内では最大種として知られています​。エメラルドグリーンやスカイブルーに輝く体色で知られる本種は、生態情報が限られていましたが、最近の研究により、その独特な生態と行動が徐々に明らかになってきています。

本記事では、ロイヤルバタフライアガマがどのような生息地に適応し、どのような行動をとり、どのように繁殖するのか、詳しく解説していきます。

「大きなトカゲに興味がある!」

「ロイヤルバタフライアガマってなに?どんなトカゲ?」

このような声にお答えできる内容となっております!

興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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基本情報

  • 学名:Leiolepis guttata
  • 英名:Giant Butterfly Lizard(Spotted Butterfly Lizard)​
  • 分布:ベトナム南東部(ビントゥアン省など)の沿岸部​
    (※一部情報では中国南部沿岸にも生息するとされますが、確実な記録はベトナムに限定)
  • 全長:平均約60cm、最大約90cm(オス)に達する大型トカゲ​(メスは最大約60cm程度)
  • 活動時間帯:昼行性(昼間に活動し、夜間は地中の巣穴で休む)
  • 寿命:20年以上(飼育下での報告)​ 野生下での正確な寿命は不明

見た目の特徴

ロイヤルバタフライアガマは、成体で全長約50〜60cmに達し、属内最大級のサイズを誇ります。

中でも目を引くのが、その体側に広がるオレンジから黄色の斑点模様(スポットパターン)ですね。この斑点が、まるで砂丘に舞う蝶のようにも見えることから「バタフライアガマ」と呼ばれているんですよ。さらに、尾の部分には黒と白のストライプ模様が走っていて、これもまた特徴的です。

背中の色はオリーブグリーンから灰褐色と、個体によって微妙に違うんですが、繁殖期になるとオスの体色はぐっと鮮やかになり、後ろ脚や尾の付け根あたりに青緑色の光沢が出てきます。触るとわかるんですが、背中から首にかけての鱗はとても細かくて滑らか。まさに、砂地にうまく溶け込むためのデザインって感じですね。

食性

ロイヤルバタフライアガマは、ざっくり言うと「雑食性のトカゲ」なんですが、実はけっこう草食寄りなんです。

野生では、草本植物の葉っぱや花、それに果実なんかをメインに食べています。昆虫などの小動物もつまみ食い程度に捕まえるんですが、あくまで補助的って感じですね。バタフライアガマ属全体で見ても草食寄りの食性は共通していて、葉や花からしっかりと水分や栄養を摂るのが得意なタイプなんですね。

実際、飼育下でも同じ傾向が見られていて、理想的な給餌バランスは「植物系が8割、昆虫系が2割くらい」とよく言われています。他のアガマ科のトカゲと比べても、かなりユニークな食性ですよね。果物も好物なんですが、あまりあげすぎると糖分の摂りすぎになってしまうので、そこはちょっと注意が必要です。

こうした草食性が強い背景には、彼らの生息環境が関係しています。ロイヤルバタフライアガマは、乾燥した沿岸部の疎林(木がまばらな林)や砂地に暮らしているんですが、そこで手に入りやすい食べ物って、どうしても植物質が多いんですよ。そのため、植物を食べることで水分や栄養を効率よく摂取する生活スタイルになったんですね。

とはいえ、昆虫もちゃんと食べています。特にアリや小型の甲虫など、地表にいる虫をよく捕まえていると考えられています。

生息地での生態

生息地は主に海岸沿いの砂丘や疎林です。日中の強い日差しが大好きで、砂地に掘った巣穴の入り口や地表で、じっと体を温めている姿をよく見かけます。

「乾燥した砂地」って聞くと、カラカラのイメージがあるかもしれませんが、沿岸部なので季節によっては意外と湿度が高いんです。だいたい湿度は60〜90%くらいと言われていて、乾季(冬季)は60〜75%、雨季(モンスーン期)には75〜90%まで上がります。この湿った空気と強烈な日差しが組み合わさって、植物が育ちやすい環境になっているんですね。そんな植物を食べることで、彼らの草食中心のライフスタイルが成り立っているわけです。

行動範囲は完全に地上派で、地表をササッと走り回るのが得意です。ちょっとした危険を感じると、自慢の脚力を使って、砂地をなんと二足走行で駆け抜けることもあるんですね。

柔らかい砂地に深い巣穴をせっせと掘って巣穴を作り、夜はそこを寝床にしたり、天敵から身を隠したりしています。実は、この巣穴で集団生活をしている可能性もあるんです。「コロニー(群れ)」として大規模な巣穴を共有して暮らしているという報告もあって、同じ属の他の種類でも似たような行動が確認されています。なので、ロイヤルバタフライアガマも複数個体で同じ場所に暮らすことが多いみたいです。

ただし、どんなふうに群れのルールがあるのかとか、誰がボスなのか、そういった詳しい社会構造についてはまだ研究途中なんです。今後の調査結果に期待ですね。

外敵に襲われたときの防御方法も、かなりユニークです。トカゲの中には襲われた際に「尻尾を切り離す(自切)」ことがあるものもいますが、ロイヤルバタフライアガマは「バレルロール(横回転)」しながら尾をちぎるという、なかなかアクロバティックな動きをするんですよ。切り離した尾はもちろん再生しますが、やっぱり元通りにはならなくて「再生尾」と呼ばれるちょっと短くて形が違う尾になります。

性格

ロイヤルバタフライアガマは、基本的にけっこうシャイな性格をしています。警戒心が強くて、ちょっとでも人の気配を感じると、すぐに物陰や巣穴にダッシュで隠れちゃいます。しかも、無理に触ろうとすると、あの大事な尻尾を自ら切り離してまで逃げようとするくらい慎重派なんです。

でも、そんなロイヤルバタフライアガマも、環境に慣れてくると少しずつ変わります。

飼育下では「最初はかなり臆病だったのに、慣れてくると地表に出てくる時間が長くなった」という報告も多いですね。中には、人に対してある程度慣れを見せる個体もいて、「この子は人懐っこいな」と感じるケースもあるようです。

とはいえ、基本的にはあまりハンドリング(手に乗せたりすること)は向いていない種類だと言われています。やっぱり触られるのは苦手で、それがストレスになることもあるので、無理に触らず見守るスタンスがベストですね。

野生では、とにかく人間が近づくとあっという間に逃げてしまうため、生態写真を撮るのもかなり難しいって言われています。カメラマン泣かせのトカゲなんですよ。

行動の特徴

ちょっと面白いのは、野生でも「集団で生活しているんじゃないか?」という報告があることです。その影響か、飼育下でも複数飼育をすると安定しやすい傾向がありますよ。単独で飼うよりも、仲間がいたほうが安心するのか、食欲が増したり、行動が活発になったりするんです。

縄張り争いはそこまで激しくなく、同じ種同士ならあまり攻撃的になることは少ないみたいです。ただし、一部の個体がエサを独り占めしがちになることもあるので、その点は注意が必要ですね。複数のエサ場を作って、みんなが平等にごはんを食べられるように工夫するのがオススメです。

また、オス同士で激しいケンカをするという話はあまり聞きませんが、繁殖期になるとオスがメスを追いかけ回す行動がよく見られます。そのため、スペースが狭い環境だとストレスになりやすいので、広めの飼育環境を用意してあげるといいですね。

1日の行動パターン

普段の1日の行動パターンはというと、朝になったら巣穴からひょこっと出てきて、まずは日光浴(バスキング)をして体温をしっかり上げるところから始まります。その後、エサ探しのために行動範囲をうろうろ歩き回り、途中で植物の葉をかじったり、たまに昆虫を捕まえたりして過ごします。

昼間、気温がぐっと上がると、さすがに暑すぎるので巣穴や日陰に避難して涼むこともあるんです。そして、夕方が近づいてくると再び巣穴に戻り、そのまま夜を過ごす、という感じですね。

こうした昼行性で地表性のライフスタイルは、砂漠や乾燥地帯に暮らすアガマ科のトカゲたち(フトアゴヒゲトカゲなど)にはよくある典型的なパターンと言えますね。

繁殖行動

ロイヤルバタフライアガマの繁殖行動については、実はつい最近になってようやく詳しいことが分かり始めたばかりなんです。まだまだ研究途中の部分も多いんですが、今わかっている範囲でお話ししていきますね。

まず、この種は基本的に「有性生殖(オスとメスが交尾して子孫を残す方法)」をするトカゲです。実は同じバタフライアガマ属の仲間には「単為生殖(メスだけで繁殖する)」をする種類もいるんですが、ロイヤルバタフライアガマはそれには当てはまりません。オスとメスがしっかりペアになって交尾をし、受精卵を作るという、わりとオーソドックスなスタイルなんです。

繁殖期は、だいたい現地ベトナムの乾季明けから雨季に切り替わる春先(3月〜5月あたり)にあたると考えられています。ベトナム南部では11月頃から乾季に入って気温が下がり始めるんですが、この時期はロイヤルバタフライアガマも「クールダウン」と呼ばれる休眠状態に入ることがあります。中には、巣穴でブルーメーション(簡易的な冬眠のような状態)に入って、じっとして過ごす個体もいるみたいです。

そして、春先になって気温と湿度がぐっと上がってくると、「そろそろ繁殖の季節だな!」とばかりに活動を再開します。

繁殖期に入ったオスは、見た目がガラリと変わります。体の色がグンと鮮やかになって、特に頭部や体側はエメラルドグリーンやスカイブルーが目立ってきます。体全体のコントラストがはっきりして、他のオスやメスにアピールしするんですね。

同時に、ヘッドボビング(頭を上下に激しく振る)や、まるで腕立て伏せのようなプッシュアップ行動を繰り返すようになります。これは「自分は元気で強いぞ!」っていうアピールでもあり、他のオスへの威嚇行動にもなっているんですよ。

メスに対しては、こういったディスプレイ行動をしながらじわじわ近づいていきます。メスが興味を持って逃げずにそのままいると、オスはメスの首筋に軽く噛みついて交尾に入ります。このとき、場所は巣穴の中だったり、地上だったりと個体によってまちまちですが、巣穴の中で交尾する場合は、オスがあらかじめ巣穴を掘ってメスを誘い込むなんていう行動も見られています。

交尾が無事に終わると、メスの体内で受精卵が作られ、いわゆる「妊娠状態」になります。この妊娠期間はおおよそ3か月くらいと言われています。その間、メスのお腹はどんどん膨らんで、後期になるとお腹のあたりに卵の輪郭がうっすら見えることもありますね。飼育下で観察された例でも「お腹がパンパンで、まるで風船みたいだった」という報告があるくらいです。

産卵が近づいてくると、メスはソワソワと落ち着きがなくなって、巣穴や地面を掘り返しながら、良さそうな産卵場所を探し回るようになります。野生では、適度に湿った砂地や土のある場所を選んで、深さ数十センチの巣穴を自分で掘り、その中に卵を産み落とすと考えられています。

産卵~ふ化後

実際の産卵数ですが、2009年にベトナムで採集されたメスを解剖したとき、左の卵管に2個、右に1個の、合計3個の卵が確認されました。この記録は、ロイヤルバタフライアガマの産卵数に関する初めての具体的なデータで、つまり、一度の産卵でだいたい3個前後の卵を産むんじゃないか、と考えられています。

ちなみに、他の大型アガマ科トカゲ、たとえばウロマスティックスなんかだと、一度に5〜10個の卵を産むのが普通なので、それと比べるとロイヤルバタフライアガマはかなり少ない数ですよね。

でも、これはおそらく「少数精鋭タイプの繁殖戦略」なんだと思われます。卵の数は少ないけど、そのぶん、高い生存率を目指すやり方ですね。野生では資源(エサや巣穴の場所)が限られていることもあって、そうした戦略になったんでしょう。

産卵された卵は、だいたい72〜80日くらい(約2か月半)で孵化します。自然環境下では、砂の中に埋められた卵が太陽の熱や周囲の気温によって温められます。卵の周辺は26〜29℃くらいに保たれていると考えられていて、これが孵化にはちょうどいいんです。湿度も大事で、だいたい70%前後の湿度があると、胚は順調に育ちやすいです。そして、2〜3か月経つと、小さな幼体が卵の殻を破って出てくるわけですね。

孵化したばかりの幼体は、全長が10〜15cmほど。尾は赤っぽい色をしていて、体の側面には成体よりも控えめなストライプ模様があります。

幼体は孵化したその日から自分で動き回って、小さな昆虫なんかを捕まえて食べ始めます。そして、性成熟(繁殖可能な年齢やサイズ)に達するまでには、約3〜5年かかるとされています。ゆっくり成長するタイプなので、繁殖サイクルも年に1回くらいじゃないかと考えられています。つまり、たくさんの子孫を短期間に増やすのではなく、じっくりと少しずつ次世代を残していく、そんな生き方をしているわけですね。

まとめ

ロイヤルバタフライアガマの生態について解説しましたが、いかがだったでしょうか?

ロイヤルバタフライアガマはベトナム南東部の砂丘地帯に生息する大型トカゲで、美しくも興味深いトカゲです。ですがその生態は、まだまだ研究途中なんですね。特に繁殖に関しては、環境要因や気候変動の影響を強く受けるため、今後さらに調査が必要な分野といえるでしょう。

情報が限られている部分が多く難しい種類ではありますが。野生での生態を知っていれば、飼育中に困ったときのヒントとなると思います!

飼育環境や飼育方法についても解説していきますので、ぜひそちらもご覧ください!

それではまた、別の記事でお会いしましょう。