皆様こんにちは!
今回はオニプレートトカゲを実際に飼育する際の「環境のセッティング」についてお話していきます!前回の「オニプレートトカゲの生態」についてもあわせてご覧いただけると、わかりやすいと思います。
飼育の安定は “住まいの設計” から!
住環境を 数値で再現 する方法をご紹介していきます。
推奨ケージサイズと高さについて
結論から先に——
オニプレ(Broadleysaurus major)は床面が命の地表性トカゲです。単独飼育の“現実解”は幅90×奥行45×高45cm以上、できれば120×60×(高)45cm。高さは“盛る”より床面と器具クリアランスを確保するほうが安定しますよ。以下、サイズ決めを失敗しないための考え方を実務目線で3点+αに整理します。
1)まず床面積:最小ラインと“理想サイズ”の考え方
- 最小ライン(単独):
90×45×45cm。この床面があれば、ホットスポット(35〜40℃)とクール側(25〜28℃)の温度勾配を無理なく作れます。 - 理想ライン:
120×60×45cm。動線にゆとりが出て、「暖かい隠れ家」×1 + 「涼しい隠れ家」×1を両端に置いても、採餌スペースがしっかり確保できます。レイアウトの自由度が上がる分、運動+ストレス低減の恩恵が大きいですよ。 - 60cm規格は“仮住まい”扱い:
幼体〜亜成体の立ち上げには使えますが、餌が見つけやすい簡素レイアウト前提。すぐ90/120へ引っ越す前提で考えるのが安全です。 - 多頭同居は基本NG:
単独性が強く、追い込みや小競り合いのリスクあり。サイズを上げても1ケージ=1個体が原則ですね。
2)“高さ”は足し算ではなく引き算で決める
オニプレは登攀性が高くないので、高さは30〜45cm帯で十分です。ただし内寸から差し引かれる要素を忘れがち。引き算で考えると失敗しませんよ。
- 例:内高45cmのケージ
- 床材:7〜10cm(掘れる深さ)
- バスキング台:5〜10cm(平たい石やレンガ)
- 熱源の安全距離:15〜20cm(火傷防止。必ずソケットガード)
→ この時点で有効空間は約15〜20cm。ゆえに、ランプは外付け or 天井面から吊る構造が扱いやすいんです。
- 紫外線(UVB)の距離もここで決まります。T5HO管なら“網越し”で30cm前後を起点に、個体の行動を見て微調整すると合いやすいですね。
- まとめ:
高さを盛るより、床材の厚み+器具の安全距離を確保できる設計が正解ですよ。
3)材質・構造の選び方:保温と通気のバランスを設計する
- ガラス(上面メッシュ):
入手しやすく観察性◎。ただし上抜けの熱損失が大きいので、側面に補助断熱(ケージ外面に断熱シート)を貼ると冬が楽です。 - PVC/樹脂ケージ(前面開口):
保温性能が高く軽量。前開きで作業性◎、“上から手が来ない”ので馴化も進みやすいですよ。 - 木製メラミン:
保温◎、加工しやすい反面、防水と清掃性に気を使います。尿や水入れ周りはコーキングで対策。 - 通気設計:
前面下部→上面(背面)への対角線換気が理想。通風を確保しつつ、ホット側の熱だまりを作って勾配を安定させます。網蓋は半分を金属板や耐熱ボードで塞ぐと保温とUVB減衰のバランスが取りやすいですね。 - 扉は前開き+確実なロック:
テールホイップが強いので、戻し入れ時のバタつき対策に前開きは有利。地震対策として二重ロックもおすすめです(日本だとここ重要ですよ)。
4)サイズを温度・光から“逆算”する(実装テンプレ)
90×45×45cm(単独)を例に、温度と光から逆算して配置すると迷いません。
- ホット側1/3にスポット+平石:
石の表面が35〜40℃になるワット数・距離に調整(非接触温度計で表面を測る)。 - クール側1/3は器具なしで25〜28℃に落とす。空気が回り過ぎるなら側面の通気を半塞ぎで微調整。
- UVBはホット側上部にT5HO管(または相当)を網越し30cm前後。バスキング台の上でUVIがピークになるよう“距離で合わせる”のがコツです。
- 隠れ家は2個以上(暖かい隠れ家をホット側、涼しい隠れ家をクール側)。床材は7〜10cmで掘って潜れる深さに。
- 水容器はクール側に置き、蒸発で局所湿度の“逃げ場”を作る。
このテンプレは120×60に拡張しても同じ。単に各ゾーンの面積と器具の出力をスケールアップするだけです。
5)ケース別おすすめ構成(迷ったらこの3択)
- コスパ重視(標準):
90×45×45ガラス+上面メッシュ/スポット100W級+サーモ/T5HO 1本/隠れ家×2/床材7〜10cm。——まずはこれで“数値が出る”ことを体験。 - 快適性重視(本命):
120×60×45 PVC前面開口/スポット75〜100Wを角度調整/T5HO 1.2m管/隠れ家×3(湿・暖・涼)。——手入れが楽で季節安定。 - 幼体立ち上げ(仮住まい):
60×45×40簡素レイアウト/餌を見失わない空間を優先。——3〜6か月で90へ。
6)最後に:サイズ選びの“判定基準”
- 温度勾配が出ているか(ホット35〜40℃/クール25〜28℃を24時間安定)
- “暖・涼”両側に隠れ家があるか(どちらでも落ち着ける)
- 床材が掘れる厚みか(7〜10cm)
- 器具の安全距離があるか(火傷・器具落下リスクなし)
1つでも欠けるようなら、サイズかレイアウトを見直すサインですよ。
床材は何を敷くのがいい?
オニプレ(Broadleysaurus major)は「サバンナ×岩×隙間」使いの地表性・浅掘り派。結論から言うと、細かすぎない“土系ブレンド”を8〜12cm敷くのが現実解ですよ。
隔離期は紙系で観察を優先、本飼育で“掘れる土+局所湿”に移行する——この二段構えが一番トラブルが少ないです。「乾いた全体+湿りの点」を意識し、スポット掃除毎日・総入れ替え6〜8週のリズムで回せば、掘って潜る“オニプレらしさ”がしっかり出ますよ。
1)方針を決める:紙 or 土、そして“粒径”の考え方
導入直後(検便・駆虫の有無がまだ不明)はペーパータオル/新聞紙が最適です。
糞便が見つけやすく、清掃が速い。状態が落ち着いたら本飼育に切り替え、土系ブレンドへ移行しましょう。ここで大事なのが粒径で、微細な砂(超細目のシリカ砂・カルシウムサンド)や粉っぽい素材は避けるのが無難です。プレートトカゲは板状の鱗が連なり、目の粗い基材のほうが鱗間に粉が入りにくいんですよ。誤飲リスクの高い素材(クルミ殻粉砕、香りの強い針葉樹チップ)も外しましょう。
“土にする理由”は3つ。
(1)浅い穴掘りで安心できる
(2)足裏のグリップが良い
(3)局所的に湿りを載せられる。
一方で“紙に戻す判断”も持っておきましょう。下痢が続く・ダニ疑い・抗生剤投与中などは監視性を最優先=紙へ一時回帰が賢明ですね。
2)実装レシピ:配合・層構成・“掘れる深さ”の基準
おすすめは“粗めの土:保水材:補助材”の三層思考です。実例を3パターン挙げていきますね。
- 標準ブレンド(扱いやすさ重視):
無農薬の園芸用トップソイル or 赤玉細粒ふるい後 2、ヤシガラ2、プレイサンド(中目)1。計8〜12cm。表面は手で押すと形が残るが、水は染み出さない程度に軽く霧吹き→スコップで軽く押し固めるとトンネルが崩れにくいですよ。 - 乾燥寄り(掃除しやすい):
トップソイル 3、バークチップ(粗)1。表層はサラッと、隠れ家の下だけ湿りを作る。脱皮期はウェットシェルターで湿度を足す設計。 - 半ナチュラル(におい抑制):
標準ブレンドに腐葉土少量+落ち葉。上から3cmは乾き気味、下層2cmに“やや湿り”ゾーンを保つ。掃除はスポット掃除+2〜3か月で大換え。
厚みの基準はケージ規格で変えます。
90×45なら8〜10cm、120×60なら10〜15cmが作業性と自重のバランスが良いですね。
床材を厚くできない場合でも、「掘れる箱(ディグボックス)」を入れると満足度が段違いです。20×30cm以上のタッパーに同ブレンドを12〜15cm、入口は横に穴を開け、上蓋で暗くしてやるとよく使ってくれますよ。
最後に給餌工夫。土での誤飲は餌皿(タイルや金属トレー)を使えば激減します。バスキング台の縁で与えるのも有効ですね。
3)メンテ&トラブルシュート:湿りの“点”と清掃のリズム
目標は「乾いた景観+湿りの点」。
ケージ全体を湿らせると呼吸器トラブルのリスクが上がるので、湿度は“局所”で作るのがコツです。やり方は簡単で、シェルター直下の下層だけ霧吹きして“しっとり土”を掌に感じる程度に。表層は乾かし、足裏が常に濡れないようにします。
清掃は、
毎日:スポット掃除(糞・尿酸・食べこぼし)
週1:全体をざっくり撹拌して通気
6〜8週:床材総入れ替え が目安。
アンモニア臭や立ち上りの粉塵が増えたら早めにリセットを。水入れ付近はカビが出やすいので、器の下にタイルを敷いて局所泥化を防止しましょう。
よくある悩みと対策をまとめておきますね。
- 粉っぽい/くしゃみが増えた:
ふるい直し+霧吹きで落ち着くか確認。改善しなければ配合を見直し(砂を減らす)。 - 脱皮不全が出る:
湿った隠れ家を常設、床材下層の“しっとり帯”を維持。 - 掘ってもすぐ崩れる:
押し固め不足。水分量を微調整して成形→半乾きで安定します。 - コオロギが潜って出てこない:
餌皿給餌に切り替え。逃げ込む隙間が少ない平たいレイアウトで。
バスキングスポット温度と温度勾配の作り方
彼等は日中性の“地表性+岩場好き”。
カギは「表面温度の作り分け」です。ホットスポットの“石の表面”を35〜40℃、ケージ反対側の地表を25〜28℃に落とし、夜は20〜25℃へ。
ここを外さなければ、食欲・消化・免疫が安定します。以下、実務で迷わないように数値→器具→調整の順でまとめていきます。
1)目標値の設計図:測るのは“空気”でなく“表面”ですよ
- ホットスポット(バスキング台の表面):
35〜40℃。ここは“石・タイル・レンガ”など熱容量のある平面で作ります。空気温度計ではなく、非接触温度計(放射温度計)で「表面」を測るのがコツですよ。 - 周辺の空気温:
ホット側の空気32〜34℃、中央28〜30℃、クール側25〜28℃が目安。地表の温度差ができると、トカゲは勝手に「移動で体温調節」してくれます。 - 夜間:20〜25℃まで下がってOK(国内の冬場で室温が下がりすぎる時は保温補助)。真っ暗&涼しい時間があると、昼の活動が引き立つんですね。
- 計測体制:
- 放射温度計 ×1(石の“表面温度”を測る主役)
- デジタル2点温度計 ×1(ホット側/クール側の“空気”を同時監視)
- 放射温度計はマットな黒い部分で測ると誤差が減ります(石に黒テープを貼る裏ワザ、効きますよ)。
2)作り方の核心:器具の選び方・配置・安全距離
- 熱源は“スポットで点を作る”:
昼行性なので、ハロゲン/白熱のスポットランプが本命。
90×45×45なら60〜100Wから、120×60×45なら75〜150Wからスタートし、調光式サーモ(dimming)で追い込みます。 - 角度と距離:
ランプはホット側の端に寄せ、石面に対して斜め45°前後に当てると“点過熱”を避けやすいです。動物の背中〜ランプまで15〜20cm以上は絶対確保(ソケットガード必須)。 - バスキング台:
平たい石/厚手タイル/レンガを5〜10cm積み、“行き来しやすい段差”にしましょう。
厚み=熱容量なので、点灯後の温度がゆっくり安定しますよ。 - UVBとの同軸化:
バスキング時にUVBも浴びられる位置関係に。
詳しいUVIは別項ですが、実務は「ホットスポットの真上付近にT5HO管を置き、距離で合わせる」が再現性高いですね。 - 通気と断熱の両立:
上面全面メッシュは熱が逃げすぎてしまいます。
メッシュの1/3〜1/2を板でふさぐと、ホット側に“熱だまり”ができて勾配が安定します。前面下→背面上へ抜ける斜めの通風が理想。 - 夜間保温:
どうしても冷え込む日はセラミックヒーターや暖突等の可視光の出ない熱源をサーモ管理で弱く入れます。“熱い光”は夜に使わない、ここが睡眠の肝ですね。 - 禁止事項:
ヒートロック(加熱石)は局所火傷の王様なのでNG。吊り下げ器具は落下防止、配線は耐熱・断線保護で。
3)チューニング手順と季節対策:3日で決める“現場プロトコル”
初期設定(Day 1)
- ホット側1/3にスポット+石を設置、クール側1/3は器具なし。
- ランプON後30〜60分で、石表面が35〜40℃に乗るまでワット数 or 調光で調整。
- 空気温を2点で確認:ホット側32〜34℃、クール側25〜28℃。足りなければ上面の塞ぎ具合で微調整。
微調整(Day 2–3)
- 観察ドリブンで決めます。
- 終日ホット側べったり→ホットが弱い or クールが寒すぎ。
- 終日クール側張り付き→ホットが熱すぎ。
- バスキング→採餌→クールで休む、の往復が見えれば正解ですよ。
- 石の材質チェンジ:
温度の振れが大きいなら厚めタイル/砂岩系に替えると熱の安定が出ます。 - 高さで微調整:
バスキング台を5〜10mm上げ下げするだけで表面温度が1〜2℃動きます。
季節運用のヒント
- 冬:室温が下がるとワット数が要る → ランプを一段階上げる+メッシュ塞ぎを増やす。
サーモの上限(例:石面41〜42℃)を設定して過熱を自動封じ。 - 夏:室温が高すぎると勾配が消える → 照明時間をやや短縮、排気ファンや小型USBファンでクール側に風の逃げ道を。ホット側が45℃超えやすい日はランプを弱める or 角度を開く。
- 点検ルーチン:
- 毎朝:石の表面温度と2点の空気温をメモ。
- 週1:ランプ角度&距離、サーモのプローブ固定(外れていないか)を確認。
- 月1:石やタイルの位置を見直し、“登って下りて”の導線が渋滞してないかをチェック。
トラブル早見
- 食後に口を開けて呼吸/口を開けてバスキング
→ 過熱のサイン。まずランプ出力↓ or 距離↑。 - 糞が緩い+常にクール側
→ 慢性の冷えで消化不良気味。石表面+空気の両方を+2℃目標で見直し。 - 脱水っぽい皮膚感
→ 全体を湿らせず、“湿った隠れ家”を1つ追加しましょう。
紫外線ライトはどのタイプ・UVIがベスト?
オニプレートトカゲ(Broadleysaurus major)は日中性+地表性+サバンナの陽ざしが前提のトカゲです。
結論から言うと、T5 HO直管のUVB(砂漠〜サバンナ帯:10–12%相当)を“幅広く”照射し、バスキング地点でUVI 3〜4を狙うのが現実解ですよ。
運用は“強い光+強い熱+確実な陰”の三点セット。距離と角度を“数値で詰める”だけで、食欲・骨代謝・行動が安定します。
1)ライトの「型」を決める:T5 HO直管が基軸、熱源と“同軸”で
- 基軸はT5 HO直管+反射板:
照射面が広く、ケージの“空間”にUVIの勾配を作りやすいのが長所です。
砂漠〜サバンナ帯ならZoo Med ReptiSun 10.0 T5 HOやArcadia D3 12%が定番ですね。120×60×60cm級のケージなら、22〜34inchクラスのT5 HOをホット側に寄せて設置し、バスキングと重なるようにします(UVI 4–6を目安にという資料もありますが、まずは3–4で運用開始が堅実です)。 - 熱と“同軸”にする:
熱源(スポット)とUVBは同じ側にまとめ、熱と光が重なる“サンビーム”を作るのがコツ。これで“温まる=同時にUVも浴びる”自然な行動になります。
メーカーのセットアップ解説でも「熱灯とUVBを同側でオーバーラップ」が推奨されていますよ。 - コンパクト球や小型コイルは“補助”:
面が狭く、距離で出力が極端に変わりがち。単独主灯には向きません。ケージが大きいほど直管に軍配です。 - HID/水銀灯は“高さが取れる時だけ”:
強力ですが、有効距離と発熱が大きいので、45cm高クラスのケージだと過強になりやすい。天井高と安全距離が確保できる大型レイアウトで検討しましょう。 - ガラス・アクリルはUVをほぼ遮断:
天窓や側面のガラス越しではUVBは届かない点は要注意です。
2)UVIの“目標値”と“距離出し”:まず3〜4、網越しは30%落ちを計算
- ターゲットはFerguson Zone 3圏:
日中性で直射を好む種の多くはZone 3(おおむねUVI 3前後を中心に上限7.4)に入ります。オニプレもこの帯が妥当で、バスキング地点の“頭の高さ”でUVI 3〜4を起点に設計すると安全です。 - 距離の目安(T5 HO 10–12%):
メーカーや実測データでは、直管を網上設置→バスキング面まで25〜30cm、網下設置→35〜45cmでUVI 3〜6を狙えるケースが多いです。
もちろん器具・反射板・室内照度でブレますから、Solarmeter 6.5等で実測して“距離で合わせる”のが最短ですよ。 - メッシュはUVIを約30%落とす:
ステンレス網などはUVIを30%+減衰させます。網上設置か網下設置かで、同じ球でも距離を変える必要がありますね。 - 測るのは“頭の高さ”:
床ではなく、バスキング時の頭頂の位置でUVIを測るのがプロの手順。ArcadiaのLighting Guideは種ごとの推奨UVIと距離の目安が見やすいので、初期設計の参考にどうぞ。 - 日長と球交換:
日長11–13時間を季節で軽く振る→T5 HOは6–12か月で交換(出力の漸減を織り込む)。ガラス越し・プラ越しは不可、ここも再確認です。
3)運用プロトコル&トラブルシュート:3日で決める、後は月次点検
- 初期3日プロトコル
1)Day 1:
UVBとスポットを同側に設置。点灯30–60分後、“頭の高さ”でUVI 3〜4になるまで距離(台の高さ)を微調整。
2)Day 2:
行動観察。朝バスキング→採餌→クール側で休む往復が出ればOK。日中ずっとライト直下なら光・熱が足りないかも、逆に避け続けるなら過強の可能性。
3)Day 3:
網・反射板・角度を詰め、日長を設定(例:夏13h/冬11.5h)。 - サインで読む
- 不足気味:
食欲細い、日中も“冷えた体色”、便が柔らかく未消化気味、バスキング時間がやたら長い。→UVI+0.5〜1上げる or バスキング台を10mm上げる。 - 過強気味:
常に日陰、目を細める・眩しがる、皮膚の局所乾燥。→距離+5〜10cm/反射板角度を外側へ。
- 不足気味:
- “陰”を設計する:
UVI 0.5〜1.0未満の弱いゾーンをクール側につくり、トンネル型シェルター内はUVIゼロに。強い光と強い熱には常に逃げ場をペアで用意、これが長期安定のコツです。 - サプリの見直し:
十分なUVB(UVI 3〜4)が出ている環境なら、D₃入りサプリは“控えめに定期”でOK。UVが弱い設計のままD₃で穴埋めは、長期では破綻しやすいです。 - 定期点検:月1でUVI再測(球の劣化・埃)、週1で反射板とメッシュ清掃。測る→動きを見る→少し動かすの繰り返しが“勝ちパターン”ですよ。
隠れ家やシェルターについて
オニプレ(Broadleysaurus major)は“岩の割れ目に体を押し込んで落ち着く”タイプ。
だから数より質、そして配置がカギですよ。基本設計は「暖・涼・湿」の3点セット+ケージの広さに応じた追加です。下の手順で決めていくとブレません。
1)まず個数とサイズ:最低「暖・涼・湿」の3点セットですよ
- 個数の目安:
- 90×45規格なら3個(暖・涼・湿)が最低ライン。
- 120×60なら4個以上(中央に“中間温度の隠れ家”を1つ追加)だと行動が安定します。
- 導入初期/幼体はさらに1個追加して密度を上げると“逃げ勝ち”が減って立ち上がりが早いですね。
- サイズ感(きゅっと狭めが正解):
- 内幅=胴幅+2〜3cm、内高=胴高の1〜1.5倍が目安。大きすぎると“丸見え”になって逆に落ち着きません。
- 入口径は頭幅の1.5〜2倍。狭すぎると出入りで擦過傷、広すぎると落ち着かない、の両方を避けます。
- 素材:
コルクチューブ(軽くて洗いやすい)、スレート/レンガ(熱容量がある)、陶製シェルター(清掃性◎)。プラ箱改造も実用的です。においの強い針葉樹や鋭角の石は避けましょう。 - カタチ:
本種は“割れ目”好み。低背・トンネル型/割れ目型がハマります。1口タイプで“密着感”を作り、2口のトンネルも1つ混ぜると“逃げ道”にもなって便利ですよ。
2)置き方のルール:温度帯で置き分け、重いものは“固定”です
- 暖かい隠れ家(ホット側):
バスキングスポットの隣の温度帯に置き、内部が32〜34℃くらいになる位置を探ります。
直下に置くと40℃超えになりがちなので、石面から半歩ずらすのがコツですよ。温度計のプローブを中に差し込んで実測すると失敗しません。 - 涼しい隠れ家(クール側):
反対端の25〜28℃域へ。水容器はクール側に置き、隠れ家のすぐ横に“湿りの逃げ場”を作ると夏場が安定します。 - 湿った隠れ家:
ミズゴケや湿らせた土を入れたボックスをクール寄りに。
表層は乾き、内部だけしっとりが理想ですね。脱皮期は含水を少し増やすと成功率が上がります。 - 視線の遮り方:
隠れ家を対角線上に配置し、互いの入口が見通せないように。
見通しが利きすぎると“常に誰かに見られている感”が出て落ち着きません。植栽(フェイクでもOK)やコルク板で視線カットの壁を足すと効果的です。 - 倒壊・埋没を防ぐ:
重い石やレンガは底面(ガラスやPVC)に直置きしてから床材を周囲に盛ります。
床材の上に積まないのが鉄則。地震国なので耐震ジェルやシリコンで軽く固定、入口の上に重量物を載せないことも徹底しましょう。 - 入口の向き:
熱灯やUVの直射が差し込みにくい方向へ向けると“洞窟感”が増します。
通気は前面下→背面上に抜けるよう、入口を気流の“直撃”から少し外すと乾きすぎを防げますよ。
3)運用とメンテ:行動で“正解”を判定、季節で微調整ですね
- 行動で見る合否:
- ほぼ一日中ホット側にこもる → クール側が寒いか“安全感”が足りないサイン。
クール側の温度+1〜2℃、もしくは狭めの新シェルターを追加。 - ずっとクール側に逃げ込む → ホット過強か光が眩しすぎ。
スポットの角度/出力を下げるか、暖かい隠れ家を半歩離す。 - 行き来が増え、採餌 → 休憩の往復が見えたら配置はほぼ合格ですよ。
- ほぼ一日中ホット側にこもる → クール側が寒いか“安全感”が足りないサイン。
- 湿った隠れ家の管理:
ミズゴケは2〜4週で交換、ボックスは週1洗浄&天日。カビ臭・ぬめり・黒点が出たら即リセット。全体を湿らせず“局所で湿らせる”が長期安定のコツです。 - 清掃ルーチン:
毎日スポット掃除(便・尿酸・食べ残し)
週1で位置の再点検(温度・光の直射・風の当たり方)
月1で丸洗い。コルクはオーブン低温や天日で再生、陶器は薄め次亜塩素酸 → 十分すすぎでOK。 - 季節調整:
- 冬は乾きやすいので湿った隠れ家を“ややしっとり”に。
- 夏は内部が蒸れやすいので含水を少し下げ、入口を広めにすると熱がこもりにくいです。
- “余白”の考え方:
隠れ家と隠れ家の間に薄い屋根(コルク板)を渡して“覆われた通路”を作ると、“隙間ダッシュ → 即潜る”の野生ムーブが再現できます。これ、驚くほど落ち着きますよ。
まとめるとこんな感じ:
- 最低3個(暖・涼・湿)、120×60なら4個以上が快適ライン。
- 置き方は温度帯で置き分け、暖かい隠れ家はスポットの“隣”、湿った隠れ家はクール寄り。
- サイズは狭め、視線は遮る、重い物は固定——この3点で一気に“安心なケージ”になりますよ。
最後は行動で答え合わせ。一つの隠れ家に張り付き続けるならレイアウトを再調整、往復が出れば正解です。オニプレは“隙間が整うほどよく馴れる”種。隠れ家は飾りではなく設計、ここを押さえるとハンドリングも給餌も楽になりますね。
まとめ
さて、今回はオニプレートトカゲの「住環境」についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
要点をまとめると3つ。
①サイズは床面優先
— 最低90×45×45、理想120×60×45。高さは“床材・台・器具の安全距離”を引き算で決めるのが正解。
②温度と光は行動で答え合わせ
— 石の表面35〜40℃、クール25〜28℃、夜20〜25℃。UVBはT5 HO直管をホット側に寄せて UVI 3〜4。強い光と熱には必ず逃げ場(UVI≦1、温度も低め)をペアで用意。
③レイアウトは臆病な性格に合わせて
ー「暖・涼・湿」の隠れ家3点セット+視線の遮蔽、重い石は直置き固定、湿りは“局所”で与える。口の向きや固定方法まで詰めると、日々のストレスがグッと減ります。
という所ですね。
ここまで整うと、彼らの「食欲・代謝・機嫌」がほんとに“別人級”に安定しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
次回は「エサ・栄養管理」について、深掘り解説していきます!